Chick Corea and Return to Forever / Light as a feather

フュージョン枠では衝撃的デビュー作であり、歴史的名盤の1枚に数えられるチック・コリアの『Return to Forever』。

そんな1stに続き73年に発表されたのが本作である。

今日でこそチック・コリア=エレクトリック・ピアノ(フェンダーのローズ・ピアノ)の使い手としてあまりにも有名だが、当初は英才教育を受けたアコースティックのピアノ弾き。

同じピアノでもエレピとアコピではプレイ・スタイルが異なるのは言うまでもないが、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスの命令により本格的にプレイするようになったのは周知の事実である。

そもそも、ローズという楽器はレガート(ジャーンと音を延ばす)を得意としており、和音の押さえ方も特有のものがあるのだ。

要は音の積み重ね方がピアノ同様であったり、低い音域で押さえると綺麗に響かないのだ。

音が濁ってしまい、汚い響きに繋がる。

これは同じ鍵盤でもピアノと同様のテクニックが通じない側面がある。

そういう意味ではチック・コリアというプレイヤーは非常に器用だということが窺える。

なぜ、1stでなくこちらの2ndを取り上げたかと言うと、デビュー作ではチックのソロ名義となっているが、実質バンド状態で勢いのある作品に対し、この2ndはバンドとしてのまとまり、キャッチーさとチックの弾くローズが洗練されているからだ。

よりコマーシャルになったエレクトリック・ジャズとでも言おうか。

何かと敷居が高いと思われがちなジャズ・フュージョンの中でもポップで聴きやすいので、何から聴けば良いか分からない方にもオススメ。

全ての方に特に聴いて欲しいのがラストを飾る⑥Spainである。

言わずと知れた名曲中の名曲であり、そのカバー率の高さは尋常じゃないぐらい、セッションなどでの定番曲にもなっている。

冒頭の『アランフェス協奏曲』から用いたフレーズをローズで弾くのもまた良い。

そしてドラムで参加しているアイアート・モレイラの奥方であるフローラ・プリムの神秘的な声。

今作ではフローラのヴォーカルも大々的にフィーチャーされている所もポップさを兼ね備えた要因だろう。

何はともあれ、このSpainの為に手に取っても充分お釣りが来るぐらいの価値。

この後のチックがジャズ・キーボーディストとしての存在感を増して来るきっかけにもなった1枚。

まずは先入観なしに聴いてみて欲しい。

94点