Claus Ogerman & Michael Brecker / Cityscape

ストリングスの魔術師、クラウス・オガーマンの82年作。

クラウス・オガーマン名義のアルバムはどれも素晴らしく、大ファンとして正直に言うと甲乙付けがたいので、どのアルバムをセレクトするか迷ったのだが先ずはよりフュージョンを感じさせるこちらを。

クラウス・オガーマンはドイツ(現在のポーランド)出身のアレンジャーで50年代後半よりアメリカに渡って以降、ジャズやポップス、映画音楽のアレンジャーとして活躍。

ソロの作品以外は何と言ってもアントニオ・カルロス・ジョビンとビル・エバンスとの仕事ぶりが非常に目立つ。

とりわけ、ジョビンとのタッグは長い間続いており、ジョビンの影にオガーマンありと存在を示すほど、常にアレンジに名前を見つける事が出来る。

またその他のボサ・ノヴァを得意とするミュージシャンとの仕事も多い(アストラッド・ジルベルトやジョアン・ドナート、スタン・ゲッツなど)。

このアルバム・・・・と言うより、クラウス・オガーマンが書くストリングスというのは夜の匂いが漂い、静寂の中に差す光のような上品さがなラインが特徴的だ。

AOR的観点から話をすればトミー・リピューマ(Produce)とアル・シュミット(Engeneer)と組んだ名盤を挙げない訳にはいかない。

作品をご紹介すると「AORの幕開け」とされるきっかけを作ったジョージ・ベンソン76年作『Breezin’』、マイケル・フランクスの『Sleeping Gypsy』がまさにそのトリオの仕事である。

他にもブラジルのギタリスト、ジョアン・ジルベルト『AMOROSO』(邦題:イマージュの部屋)という作品もある。

いずれもしっとりとした曲調の中で大胆にハイ・ノートをロング・トーンで伸ばしたり、音数が少なくてもしっかりとツボを抑えて楽曲に煌びやかさを与えるアレンジが秀逸。

ラインに特徴が現れていて”クラウス・オガーマン節”みたいなものをとても感じる。

2人名義になっているもう一人のマイケル・ブレッカーは当時、喉の調子が悪く相当なプレッシャーがかかったレコーディングだったようだが、それでもこれだけのプレイをしてしまうなんて恐るべし。

エディ・ゴメスとマーカス・ミラー(B)にサガワも大好きなフュージョン・ギタリスト、ジョン・トロペイとAORでもお馴染みバジィ・フェイトン、ブラシを中心としたプレイが光るスティーヴ・ガッド(Dr)という顔ぶれからしてニューヨーク東海岸系サウンド。

脳に直接響くような立体的なオーケストレーションに甘いエモーショナルなサックスのサウンド、α波が出やすそうな癒しを与えてくれるので眠りにつく前にぜひ、どうぞ。

96点