SPIRAL STARECASE / MORE TODAY THAN YESTERDAY

これぞ王道路線のソフト・ロックとでも言いたくなるようなスパイラル・ステアケースのデビューアルバム。

まずはジャケットに注目して頂きたい。

揃いのスーツに「何でそんな所に立っているんだ!」と突っ込みたくなるような急斜面でパチリ。

「オレ達のデビュー作だから、やったるでぇ〜」という、非常にやる気が前面に押し出された雰囲気を醸し出しているのだが、音の方も元気いっぱい。

当時、流行し始めたブラス・セクションをフィーチャーした瑞々しいサウンドは気分を高揚させてくれる。

タイトル曲①More Today Than Yesterdayをトップ・リコメンドに推したい。

この曲は今でも日本で聴かれるシティ・ポップス系のグループに影響及ぼしている事は明らかで、跳ねるシャッフル・ビートを軸に華やかなブラスを加えた作りが特徴だ。

一聴するとヴォーカルのパット・アプトンのソロ作品のように思えるが、バンド形態というのが嬉しいではないか。

とはいえ、イントロ、サビにも使われている印象的なブラスのフレーズに負けないヴォーカルのハイ・トーンは実に気持ちがいい。

アメリカでもずっと人気があるようで、パティ・オースティンや最近ではブルーノ・マーズなどがカバーしている。

美しいストリングスをバックに弾力のあるベースとスピード感のあるドラムが特徴のソウル・ミュージックをベースに、日本の歌謡曲にも通じるThis Guy’s In Love With Youも素晴らしい。

その他、スティーヴィー・ワンダーが歌った事で名高い③For once in my lifeやバート・バカラック&ハル・デヴィッドの黄金コンビによるハーブ・アルパートの④This Guy’s in Love with You、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の⑥Proud Maryなどカバー曲のセンスも良く、アルバムに溶け込んでいる。
この後に登場してくるシカゴやBS&T(ブラッド・スウェット&ティアーズ)のような所謂「ブラス・ロック」の先駆け的存在。

一般的な知名度は低いかも知れないが、良い曲はずっと残るし、実際に近年行ったパット・アプトンのライヴ映像で、この曲が歌われているのが確認出来た。

バンド自体はたったの1枚、アルバムを残して解散。

88点