夏に聴きたいAOR第8弾。
一般的にSSW扱いのアルバート・ハモンドなのでAORファンより、そちら方面の方がファンが多いと思われる。
本作は81年発表のアルバムで彼の作品では一番AOR寄りの物であると言える。
理由は簡単。
サウンドプロダクションが非常に豪華且つ、コンパクトにまとめられ、バックの演奏陣にTOTOのメンバーが参加している点である。
それに加えて、日本限定使用の差し替えジャケット。
デザインといい、写真のアングルといい、明らかにAORファンを意識した物である事は明白である。
Contents
サウンドについて
彼の特徴は何と言っても甘く切ないメロディの良さ。
そして相性の良い女性バック・グラウンド・ヴォーカルとブレンドした瞬間、化学反応が起きて胸元を抉るかのような泣きのメロディが堪らない。
コーラスのかかったギターに、クリアーなアコースティック・ギター、ブライトなピアノが絡むというサウンド・スタイルは澱みのない透き通ったクリーン・サウンド。
聴きどころ
前半①②③で完全に心鷲掴み状態。
タイトル曲である①Your World And My World。
ジャズ・ヴォーカリスト綾戸智恵さんもCMで歌っていたので恐らく、ご存知の方も多いであろう②Memories。
泣きのメロディ全快の③When I’m Gone。
いかにもSSWらしくアコギを主体に鳴らしながらも、ピアノや女性BGV、ストリングスなどを少ない音でも印象的に、そして効果的に配置している時点で極上のポップスである証拠である。
アルバムにもこれといった捨て曲も見当たらない、ハイクオリティー作品だ。
シンガーソングライターと言うと、どうしてもアコースティック・ギター一本で弾き語るようなイメージも強い。
内向的な歌詞やサウンドから人によっては少し暗いと敬遠されがちだが、このアルバート・ハモンドはジャケット写真のようにスッキリと晴れ渡る青空の元、広い海などで聴きたくなる爽快さがある。
⑥I Want You Back Here With meやサーフ・ロック調の⑦Experience、⑨By The Nightなど海に向かうドライブでの1枚としても最適。
ラストを飾る⑩I’m A Cameraの終わり方もアイディアが面白い。
ジャケット差し替えでこれだけ、イメージが功を奏している例も少ないだろう。
ただし、「風のララバイ」というタイトルを含めて各曲の邦題は相変わらず「?」だが。
ちなみに、ご子息はザ・ストロークスのギタリスト、アルバート・ハモンドJr.。
86点
データ
1981年:アメリカ(Columbia – JC 36964)
プロデューサー:ジム・エド・ノーマン
1. Your World And My World
2. Memories
3. When I’m Gone
4. Anyone With Eyes
5. World Of Love
6. I Want You Back Here With Me
7. Experience
8. Take Me Sailing
9. By The Night
10. I’m A Camera
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