ご本人の顔がアップで写り、バックが鮮やかな緑のシンプルさ、インパクトのあるジャケットをたまに見かけては思わずスルーしてしまいそうなほど内容がイメージしにくい1枚。
一部ではAORの枠に入っていることもあるが、認知度が低いせいか、その割には流通枚数が少ない気がしていた。
それもそのはず。
1976年にリリースされてからレコード時代のリイシューはなく、2009年になってようやく初CD化、日本では2010年にリリースされたきり・・・・。
唯一作とのことで、余計に知る人ぞ知る1枚になってしまったようだ。
Contents
サウンドについて
冒頭①Dance The Night Awayからファンキーなカッティング・ギターにブラスが乗り、洒落たプレイを聴かせてくれるが、そこに爽やかなダブルのヴォーカルが絡む。
ドリスの歌声で、よく比較されるのがニューヨークのシンガーソングライター、ローラ・ニーロ。
特にDance The Night Awayに続く②Hurricane In My Heartのようにピアノを主体とした曲で、その特徴は顕著だ。
確かに声質は似ているものの、ドリスの方がよりまろやかで優しい。
ピアノかアコギを中心としているので楽曲のヴァリエーション自体は多くないが、その分をまとまりは感じる。
アコースティックなサウンド・プロダクションでは珍しくブラスを多用しているが、他の楽器含め、抑えたプレイに終始しているためブラック・ミュージックのような暑苦しさはなく、ポップスとしてちょうど良い塩梅。
ウエスト・コースト産のようにブライトなアコギをかき鳴らしながら歌うものではなく、フォーキーなサウンドと適度にソフィスティケイトされたアレンジが肝。
彼女のアルバムが紹介される度に出てくるキーワード「70年代ウッドストック」周辺のミュージシャン達が実に良い仕事をしている。
決して主役より前に出ない演奏と編曲に「職人魂」を感じるのは私だけだろうか。
楽曲は粒ぞろいでアレンジも良く、捨て曲もないという点で平均レベルが高い。
ドリス本人とアルバム自体が再発を繰り返される程出回っていたら、知名度は違ったものになっていたかも知れない。
そういう意味では特別”穴”もなくAOR、SSWファンにはオススメ出来る、渋い1枚。
唯一惜しい点はCD化にあたって音質がお世辞にも良いとは言えないところ。
この手の作品は聴けるだけでもありがたい、歴史的資料としての価値がある思えば充分か。
84点
データ
1976年:アメリカ(Philo – PH 1034)
プロデューサー:
1. Dance The Night Away
2. Hurricane In My Heart
3. See Saw
4. I’ll Be Your Old Lady
5. Sunlight
6. Last Unicorn
7. Are My Thoughts With You
8. Ridin’
9. Let’s Do It
10. It’s About Time
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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