ワールドワイドに活躍するジャズ・ピアニスト松居慶子さんの旦那様であるカズ・マツイ氏によるプロジェクト。
ご本人は尺八奏者でもあり、プロデューサーのという肩書きを持つ。
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聴きどころ
これまでもロベン・フォードやカール・アンダーソンといったジャズ/フュージョン系プレイヤーを起用していたが、本作ではジノ・ヴァネリのブラザー・トゥ・ブラザーで彗星の如く現れ、一躍有名になったカルロス・リオスを全面的に起用。
アルバムはフュージョンチックなAORとして屈指の作品となった。
ライナーでご本人が語っていたが、カルロス・リオスというプレイヤーは楽曲にギター・パートを付ける時、予め宿題として持ち帰り、完璧に予習してから録音に入るらしい。
ジノ・ヴァネリの作品でもそうであったが、その成果が十二分に表れていて、様々な曲調にベスト・マッチのギター・フレーズを披露。
この辺りの巧さはタイプは違うものの、ジェイ・グレイドンにも通ずる所があるように思え、個人的には好きなギタリストである。
カズ・マツイ氏ご本人もプロデューサーとして良質な曲を集め、ゲスト・ヴォーカリスト、プレイヤーを適材適所に置くだけでなく、尺八を演奏。
これがまた普通のフュージョンにはない、和の心を感じさせてくれる。
意外にも後ろがエレクトリックの楽器群で占めていても尺八という楽器は浮くことなく、却って聴く側にとっては新鮮な響きを与えてくれる。
またトラック事に良質の楽曲を集めていても、サウンドの方向性が終始一貫しているので、バラバラな印象はない。
それどころか①のインスト曲OVERTUREからラストの⑧FIESTA EN LOS ANDESまで1つの絵本のようになっているかのような印象がある。
実際にストーリー性という要素も強く、そういった意味ではコンセプト・アルバムのようだ。
まずはともあれ①を再生してみて欲しい。
クリックを全く使っていないという事から演奏がどんどん速くなるが、それに各プレイヤーが呼応していて、実にスリリングな展開になっている。
②③ではビル・チャンプリンを、⑤にはジェニファー・ウォーンズをヴォーカリストとして迎えている。
こういった組み合わせが1つのアルバムで聴けるのは、とても嬉しい。
参加プレイヤー
前述カルロス・リオスを始め、ポール・ジャクソンJr.(G)、ラッセル・フェランテ(K)、エイブ・ラボリエル、ニール・スチューベンハウス(B)、レオン・”ンドゥグ”・チャンクラー、ヴィニー・カリウタ(Dr)、パウリーニョ・ダ・コスタ(Per)EW&Fホーンセクション(Horn)など。
91点
データ
1982年:アメリカ(Lakeside Records – LSI 30009)
プロデューサー:カズ・マツイ
1. Overture
2. At The End Of The Alley (England, 1840…..)
3. Then I Heard The Sound Of Rain
4. Fortune Teller
5. The Direction You Take
6. From These Hills
7. A Night Of The Great Canyon
8. Fiesta En Los Andes (Festival In The Andes)
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