いまだに取り上げてなかったのが不思議だったぐらいAOR屈指の名作。
イーグルスと並ぶウエストコースト・ロックの雄、ドゥービー・ブラザーズに加入と同時にそれまでの男くさい骨太なロック路線からお洒落なサウンドへ変貌させたマイケル・マクドナルドのソロ第1弾。
元々はスティーリー・ダンにも参加していたこともあったが、1975年にドゥービーの顔とも言えるトム・ジョンストンがバンドを離れざる得なかった時に加入した。
キーボーディストとしての貢献はもちろん、コンポーザー、ヴォーカリストとしても定評のあるマクドナルドの加入はドゥービーのサウンド・プロダクション拡張に大きな影響を与えた。
特徴は何と言っても唯一無二とも言えるスモーキー・ヴォイスを活かしたソウルフルなスタイル。
影響もモータウンなどのソウル・ミュージックの影響が色濃く、ファンキーさを醸し出す。
ドゥービーの路線ごと変貌させるほどバックのサウンドは小洒落た割にはヴォーカルがソウルフルという、多くのジャンルをブレンドした「AOR」そのもののサウンドを凝縮した1枚だ。
Contents
トップ・リコメンド
AORのベスト盤などには必ずと言っても良いほど収録されている名曲②I Keep Forgettin’。
休符を利かせたファンキーなビートに粘るベースと隙間を縫うクラビネット、ギターを土台にしてリズムを形成し、ファルセットを多用したヴォーカルに合いの手として妹モーリンのバックグラウンドヴォーカルが入ってくるこの曲はソウル・ミュージックのお手本で、これぞマクドナルド節炸裂の1曲。
爽やかなギター・アルペジオのリフにピアノが絡む①Playin’ by the Rulesはエド・サンフォードとの共作、③Love Liesのヴォーカルにしても自身が弾くピアノを中心としたキーボードにしても、小刻みに休符を入れてくるのはソウルを好むマクドナルドらしいが、実はプレイしているのは一時期TOTOにも在籍したグレッグ・フィリンゲインズ。
しっとりと落ち着いた空気感を与えてくれる⑥That’s Whyと共に、この2曲はランディ・グッドラムとの共作だ。
④I Gotta Tryはケニー・ロギンスとの共作でアルバム『High Adventure』にも収録。
アルバム・タイトル曲となった⑦If That’s What It Takesはジャッキー・デシャノンの作品で、スティーヴ・ガッドにしては珍しいドラミングのメロウ・ディスコ。
参加メンバー
スティーヴ・ガッド、ジェフ・ポーカロ(Dr)、レニー・カストロ、パウリーニョ・ダ・コスタ(Per)、ウィリー・ウィークス、ルイス・ジョンソン、マイク・ポーカロ(B)、ディーン・パークス、スティーヴ・ルカサー、ロベン・フォード(G)、マイケル・オマーティアン(K)、トム・スコット(Sax)、エイミー・ホランド、ブレンダ・ラッセル、クリストファー・クロス(BGV)等
今では考えられない東西オールスターの素晴らしいメンツ。1枚のアルバムで東西のS級ミュージシャンが揃う盤というのは数えるぐらいしかない。
プロデュースはドゥービー時代から馴染みのあるテッド・テンプルマンとレニー・ワロンカーが担当と、まさに鉄壁な布陣を敷いている。
アルバム全体のクオリティとしては豪華すぎるほどのメンバーの力も大きいが、一番はやはりマクドナルド自身の魅力的なヴォーカル。
なおかつコンポーザー、プレイヤーとしても一流ながら敢えて共作やキーボードに関しては他のプレイヤーに任せて極力ヴォーカルに専念している点など自己プロデュース能力が高い事も窺わせる。
作品自体も自己最高となるチャート6位に入るなど納得の1枚。
AORに多い髭面のドアップなジャケットだが、ハンサムでモノクロの雰囲気も似合っているところは最高。
88点
データ
1982年:アメリカ(Warner Bros. Records – 9 23703-1)
プロデューサー:レニー・ワロンカー、テッド・テンプルマン
1. Playin’ By The Rules
2. I Keep Forgettin’ (Every Time You’re Near)
3. Love Lies
4. I Gotta Try
5. I Can Let Go Now
6. That’s Why
7. If That’s What It Takes
8. No Such Luck
9. Losin’ End
10. Believe In It
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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