一般的にブラック・ミュージック特有のドス黒さが少なく、心地良いギターやオケ(時にはストリングスなどオーケストレーションでの豪華なデコレーションを施した)をバックに、黒人シンガーが歌っていれば、いわば”何でもあり”感がある「フリー・ソウル」というジャンルだが、その線引きはボッサやアコースティック楽器をフィーチャーしたオーガニックなものまで従来のソウル・ミュージックという枠を超えた部分も含まれる。
90年代以降、アシッド・ジャズと呼ばれる70年代のニュー・ソウルとは異なるファンキーな要素を生楽器主体のサウンドでアプローチしてきたバンド、グループ達が流行り出してからというもの、あまりの高評価に何度も再発を繰り返してきた名盤中の名盤がこちらである。
Contents
聴きどころ
1972年、現在分かっている所ではたった1枚のアルバム発表のみでその名を轟かせているのが本作主人公のアリス・クラークである。
派手なブラス・セクションとグルーヴィなリズム。
楽曲は、何処かで聴いたことがあるような雰囲気(実際、使い回しのような酷似している曲もある)だが、非常にキャッチーで違和感なく耳に入ってくる。
今更ながら如何にもクラブ受けする楽曲の宝庫であり、サンプリング・ネタ、フロア・ネタとしても納得の1枚である。
冒頭1曲目は天才ソングライター、ジミー・ウェッブのI Keep It Hidで幕開け。⑥⑦⑨は「Sunny」でお馴染み、ボビー・ヘブの作品。
こんな好盤を生んだシンガーがアルバム1枚のみの発表なんて・・・実に惜しい。
参加メンバー
アリス・クラーク本人も謎に満ち溢れているが、情報が少ない分、アルバムについても謎が多い。
よく言われるのが、バックを務める参加ミュージシャンの件。
AOR、フリー・ソウル、SSW界隈ではプレイヤーの個性が楽曲の深く関わることからも「誰がバックを務めているか」が重要視される傾向にあり、故にバック・ミュージシャンのクレジットというのは非常に重要なファクターである。
プロデュースはカーメン・マクレーなどを担当したボブ・シャッドという事が判明しているがドラムはバーナード・パーディと言われており、ベースはゴードン・エドワーズというのが定説(ハイ・ポジションまで駆け上がってのダブル・ストップの使い方がチャック・レイニーっぽいなとも思ったがゴードンのセッション・ワークスを聴くとその理由が分からなくもない)。
しかし実際はボブ・ブシュネルという説もあり、どちらかははっきりしていないがクレジットを信じるならばゴードン・エドワーズである。
他にはコーネル・デュプリーとアール・ダンバー(G)、ポール・グリフィン(K)などが参加している。
またレーベルもジャズやジャズ・ファンク、レア・グルーヴを多数リリースするメインストリームからということを考えても、この作品が当時どのような位置付けで制作されたのかという事も興味深い。
フリー・ソウルの教科書として真っ先に推薦したい1枚である。
97点
データ
1972年:アメリカ(Mainstream Records – MRL 362)
プロデューサー:ボブ・シャッド
1. I Keep It Hid
2. Looking At Life
3. Don’t Wonder Why
4. Maybe This Time (From The Motion Picture “Cabaret”)
5. Never Did I Stop Loving You
6. Charms Of The Arms Of Love
7. Don’t You Care
8. It Takes Too Long To Learn To Live Alone
9. Hard Hard Promises
10. Hey Girl
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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