60年代の「California Dreamin’」や「Monday Monday」などのヒット曲を持つママス&パパスに在籍、古くはママス&パパスで一緒になるデニー・ドハーティ、後にジョン・セバスチャンとラヴィン・スプーンフルを結成することになるザル・ヤノフスキー等とマグワンプスで活動した”ママ・キャス”こと、キャス・エリオットのソロ2作目。
個人的に思うバブルガム・ポップのイメージにぴったりなので最高峰の位置付け。
その見た目通り、膨よかで柔らかく声量がある歌声は聴く人を元気付けるかのような説得力を持つキャス・エリオット。
男性2名、女性2名のママス&パパスで相方が女優としても活動していた細身のミシェル・フィリップスだったこともあり、存在と歌声の安定感が際立っていた。
本作はママス&パパス同様、ダンヒルからリリースされていることからも、リズム体にはファースト・コールのジョー・オズボーン(B)とハル・ブレイン(Dr)を起用。ピアノとオルガンにはラリー・ネクテル、アレンジにはジミー・ハスケルと来ればスタッフ陣は完全にサイモン&ガーファンクルの「Bridge over Troubled Water(邦題:明日に架ける橋)」と同じ。
歌い手や曲調が変わるだけで、出てくるサウンドは同じというところが面白い。
60年代のアメリカン・ポップスは彼等が参加していることが多いので、流行った曲=ダンヒルの音は知らず知らず耳にしているという事がよくある。
Contents
聴きどころ
①It’s Getting Betterはバリー・マン&シンシア・ワイルによるファイン・チューンで明るく幕開け。
イントロの爽快感といい、途中のラララ・コーラスといい、ソフト・ロックらしく1曲目に相応しい。
②Blow Me A Kissは雰囲気一転、気怠く粘っこく歌うキャスも魅力的。まるでミュージカルの挿入歌を聴いているような気分。
③Sour Grapesはカーペンターズでもよく出てくるリズム体が得意のカントリー・チューン。
アップ・テンポで聴いている者をダレさせず、ノリの良い曲に仕上がっている。
⑤I Can Dream, Can’t Iでは少しジャジーで大人な雰囲気を漂わせるが、しっかりとポップに纏まっているミドル・チューン。
⑥Welcome To The Worldはソフト・ロック定型パターンでサビでのスネア4つ打ち、コーラス・ワークやストリングスが盛り上げる高揚感がたまらない。
⑧ローラ・ニーロのHe’s A Runner、ソフト・ロックの人気UKグループ、ハーモニー・グラスのヒット曲⑨Move In A Little Closer, Babyをカヴァー。
選曲、各々のミュージシャンが”職人”とも呼べるパフォーマンスを披露、人選も優れていてアルバムの隅々まで計算され尽くした、これぞポップ・ミュージックの鑑と呼びたくなるような1枚。
ただ、どういうわけか、昨今「音質」というものを向上させ再リリースされるのが定番だが、こちらの歪んだ音質だけは改善してほしい・・・・。
それさえなければ、全曲捨て曲なしの超々オススメ盤なので限りなく100点に近い。
こういう1枚こそリマスター盤リリースを!
90点
データ
1969年:アメリカ(Dunhill – DS-50055)
プロデューサー:スティーヴ・ヴァリ
1. It’s Getting Better
2. Blow Me A Kiss
3. Sour Grapes
4. Easy Come, Easy Go
5. I Can Dream, Can’t I
6. Welcome To The World
7. Lady Love
8. He’s A Runner
9. Move In A Little Closer, Baby
10. When I Just Wear My Smile
11. Who’s To Blame
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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