2010年代以降、スウェーデン、ノルウェー辺りを中心とした北欧からスティーリー・ダンを強く意識したグループが数多く登場し、ちょっとしたフォロワー・ブームが起きたが南米のブラジルから本作が届いた時にも話題になった。
なにせタイトルからして『AOR』とそのままである。
エヂ・モッタはソウル、ファンクをはじめとしてロックやジャズの素養を持ち、自身では作編曲はもちろんキーボードもプレイしながらヴォーカルも取る。
若干17歳でファースト・アルバムを制作し、数万枚のレコード・ライブラリーを所有している事からも分かるように、隅々まで根っからの音楽マニアだ。
それもそのはず。彼の叔父は「ブラジリアン・ファンクの帝王」の異名を持つチン・マイヤである。
日本のシティポップにも造詣が深く、彼のフェイバリットは山下達郎、南佳孝といったその界隈がお好きな方には堪らないヴェテラン・シンガーだ。
ベストな日本のアルバムには鷺巣詩郎 with Something Special『Eyes』濱田金吾『Midnight Cruisin’』と一緒に松本弘&市川秀男カルテット『Megalopolis』を挙げるなどシティ・ポップだけでない、日本の音楽シーンにも精通している事も窺い知れる。
ロイ・エアーズや坂本龍一、ボ・ディドリー等の共演経験もあり、日本に来日した際にはインコグニートで歌った事もあり、決してポッと出のシンガーでは無いここまでの申し分ない実績。
元々の血筋があったにせよ、そんな経験と情熱に裏打ちされた楽曲1つ1つがとても気持ち良く耳に響く。
AORマナーを守り、エレピ(ローズ、ウーリッツァー )をサウンドの中心に据えるが、他にもArp、Obxa、Hohner D6等、アナログ時代のシンセ類を多数使用しているところにも拘りを感じる。
こういった類の作品にトップ・リコメンドは敢えて挙げずにトータルでアルバムを楽しみたい。
楽曲はMPBに代表されるようなブラジリアン・サウンドそのものというよりも7、80年代のLAサウンドが取り入れられて冒頭の①Playthings Of Luvから好印象だ。
ミディアム・テンポでバウンスする②Simple Guy、ボズ・スキャッグスのロウダウンを思わせるビートに腰が浮く④Dondi、インコグニートのランディ・ホープ・テイラー風ベース・ラインがグルーヴィーな⑤Smile、クリストファー・クロスが弾きそうなアルペジオからスティーリー・ダンする⑨Farmer’s Wife等、聴きどころが多い。
近年のAOR作品としては評価が高いのも頷ける作品。
84点
データ
2013年:ブラジル(Dwitza Music – 0001)
プロデューサー:エヂ・モッタ
1. Playthings Of Luv
2. Simple Guy
3. Lost In The Night
4. Dondi
5. Smile
6. 1978 (Leave The Radio On)
7. Dried Flowers
8. AOR
9. Farmer’s Wife
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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