AORを代表するミュージシャンズ・ミュージシャン、ジノ・ヴァネリ。
一歩違えばプログレとも言えるスリリングな展開と高度なコード進行、洗練されたサウンド・プロダクションながらポップに聴かせる楽曲、そういった要素に埋もれるどころか、楽曲のインパクトをさらに上回る表現力を持った歌唱力は他の追随を許さない圧倒的なパフォーマンス。
アナログ・シンセサイザーをベースに被せる手法を多用し、手数の多いドラム、フュージョンライクなギターと効果的に配置された女性バックグラウンド・ヴォーカルなど、オリジナリティに溢れる。
そんな要素が同業者からも一目を置かれる要因である。
ジノ・ヴァネリといえば、何と言ってもAOR屈指の名曲「I Just Wanna Stop」(全米4位)や代表曲「 Appaloosa」「Brother To Brother」などを収録し、モノクロのジャケットも印象的だった78年作『Brother To Brother』が挙げられ、こちらでも以前取り上げた。
加えてこの盤で全面的に参加し、プレイヤーとして存在を知らしめたサウスポーのギタリスト、カルロス・リオスの出世作でもある。
本作は『Brother To Brother』から3年後、1981年発表。
Contents
サウンドについて
基本路線は変わらず、その延長線上にあると言ってもよい。
ロスとジョーの兄弟も相変わらずガッチリとサポート(特に兄のジョー・ヴァネリはエレピやアコピ、オルガン、シンセなどの鍵盤全般だけでなく、プロデュースとアレンジを担当)し、ギタリストはカルロス・リオスからマイク・ミラーに交代するが、ベースにニール・ステューベンハウス、ドラムにはヴィニー・カリウタという鉄壁の布陣。
アップの曲ではギターを活かしたサウンドを、ミドルの曲ではキーボードをフィーチャーし、楽曲の順番もハード→ソフト&メロウと緩急のつけ方が巧く、バランスよく並べられている。
聴きどころ
「Brother To Brother」の続編とも言える、キメを多用したフュージョンチックな⑤Santa Rosaというハードなナンバーに続き前作「I Just Wanna Stop」を彷彿させるミドル・チューン⑥Living Inside Myself、先に挙げたジノ・ヴァネリが作る楽曲の特徴が全て詰まった⑦Stay With Meからの美しいバラード⑧Sally (She Says the Sweetest Things)での落差が堪らない。
前作ほどの有名曲が収録されているわけではないが(それでもLiving Inside Myselfは6位、タイトル曲Nightwalkerは41位を記録)、アルバム・クオリティに関しては遜色ない出来だと言える。
楽曲数が8とやや物足りないが、それでも余計な楽曲を収録してバランスを崩すより粒揃いの楽曲で固めてコンパクトにまとまっている方がクオリティが保てる要因となるだろう。
89点
データ
1981年:アメリカ(Arista – AL 9539)
プロデューサー:ジノ・ヴァネリ、ジョー・ヴァネリ
1.Nightwalker
2.Seek and You Will Find
3.Put the Weight on My Shoulders
4.I Believe
5.Santa Rosa
6.Living Inside Myself
7.Stay With Me
8.Sally (She Says the Sweetest Things)
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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