このコーナーで登場するには意外なアルバムで驚かれた方もいるだろう。
ひょっとして今の10、20代前半ぐらいの人は「?」かも知れないが、河合奈保子さんといえば80年代を代表するアイドルの一人である。
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サウンドについて
なぜ、この人のアルバムを取り上げたかと言えば単にサガワが幼少の頃好きだったからというわけではなく、内容そのものがAORなのである。
そもそも、この河合奈保子という人は単純なアイドル歌手ではない。
と言うのも普通、アイドルと言えば歌う曲は作詞・作曲家の先生と言われるような方々の作品を歌い、衣装を含めたルックス面でも周りの操り人形化していくものである。
もちろん、それに徹する事の出来る人達も、また「プロ」であると思うし、今現在だってアイドルという言葉が通用するぐらいだから何時の時代にも必要な枠であると思う。
極論を言ってしまえば早い話、ルックスの良い女の子が曲や作品のクォリティ、自身の実力などとは無関係に”歌ってさえいれば”良いのだ。
そんな事が当たり前なアイドル歌手の中でも河合奈保子さんは当時としては珍しい、自らも制作面に関与、作曲やピアノやギターなどもプレイする才女なのである。
85年に発表された本作は全作に続きL.A.録音された2作目。
作家陣はなんとデヴィッド・フォスターを始め、リチャード・マークスも参加しており、バック・メンバーはスティーヴ・ルカサーを、マイク・ポーカロ、トム・キーンなど贅沢な作品である。
ルークに至ってはギターだけでなく④FINDING EACH OTHERではデュエットまで披露してしまうサービス付き。
FM系のピアノ・サウンドやプリセットに含まれてしまうほど大流行したTOTOホーン・サウンドが懐かしいが、作品の質はとても高い。
アイドルという色眼鏡で見ることなく日本人が歌うAOR作品の1つとしても楽しんでほしい。
70点
データ
1985年:日本(日本COLUMBIA)
プロデューサー:ウンベルト・ガティーカ
01. Say It’s Over (ホワイト・スノー・ビーチ)
02. Turn It Up (トワイライト・クルーズ)
03. Night After Night (星になるまで)
04. Finding Each Other
05. Happy Ever After (砂の記号)
06. Say It With Your Love (何も言わないで)
07. There’s Not Many Left (風の花びら)
08. Only Tonight (冬のカモメ)
09. Only In My Dreams (白い影)
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