AORに限らず、ポップスといえば著名なアレンジャーが手がけるゴージャスな音作りで魅了するサウンドも良いが、こちらの気分によっては例えスカスカでも、音数少なく素朴な造りの曲を欲する時がある。
そんな時はシンガーソングライター系が打って付け。
本日ご紹介するピーター・マッキャンはオススメできる一枚。
ピーター・マッキャンはアメリカはコネチカット州出身のシンガー・ソングライターで、作曲家としても活動。
AORファンにはお馴染み、歌の上手いメガネお姉さんジェニファー・ウォーンズ(ジョー・コッカーとのデュエット曲「Up Where We Belong/邦題:愛と青春の旅だち」で特大ヒットを記録)に「Right Time of the Night」を提供。
またポール・アンカが発表した83年AOR作品『Walk A Fine Line』では「This Is The First Time」を提供と、まさに”大人な曲”を書けるソングライターだ。
ホイットニー・ヒューストンの85年デビュー作には「Take Good Care Of My Heart」も提供している。
1stアルバム『Peter McCann』からは儚さを感じるメロディが特徴の「Do You Wanna Make Love」が全米5位のヒットを記録しており、本作はその次に発表された2ndアルバム。
路線としては1stの頃と変わっておらず、冒頭で述べた”素朴な曲作り”に優しい歌声が乗るという、落ち着いて聴ける作品なので安心感がある。
マッキャンの歌声は男らしくハイ・トーンまでいかずとも、高めのテナー・ヴォイス。
スタイルとしては歌い上げ系なので並のシンガー・ソングライターよりも声量があって技術レベルも高い。
Contents
聴きどころ
冒頭①Just One Woman より、好盤を予感させるには充分の内容。
マッキャンの弾くピアノによるリフ、サビ部分での女性コーラスがマッキャンの声と混ざり合い、華やかさを添えているので実に効果的。
⑤Take It Out On Me、⑥Step Right Upも同様で、どうやらこの形が定型のようだ。
Step Right Upのソロはサックスが担当しているので、この辺りもAORファン、お洒落ポップス好きには堪らない作風だ。
この曲はキャス・エリオットの妹、リア・カンケルも1979年のデビュー作『Leah Kunkel』でカヴァー、アルバムの1曲目に収録されている。
続くリア・カンケルの2ndアルバム『I Run With Trouble』でもマッキャン作「Hard Feelings」を収録していることから、マッキャンの作品を気に入っていたことが分かる。
サックスのイントロが何ともお洒落ムーディーな雰囲気を醸し出す⑨All You Got To Doなど「これぞ、典型的なAORのイメージ」と呼びたくなるような曲。
ラストを飾る⑩That’s Just the Way I Feelは収録曲中、一番豪華な音作りで唯一と言ってもいい分厚いアレンジと、やはり女性コーラスが盛り上げている。
ズバ抜けたヒット曲は無いものの、総じて楽曲のクオリティが高く、捨て曲がないのでトータルでオススメ。
眼光鋭いデカイ顔のジャケットのせいで、やたらとインパクトが強いが、出てくるサウンドは極めてマイルド。
87点
データ
1979年:アメリカ(Columbia – JC 35724)
プロデューサー:ハル・ヨアーグレアー
1.Just One Woman
2.Love This Time
3.What’s He Got
4.Damned If I Love You
5.Don’t Take It Out On Me
6.Step Right Up
7.Road To Love
8.Come By Here
9.All You Got To Do
10.That’s Just The Way That I Feel
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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