ご存知カリスマ・シンガー・ソング専業主婦の竹内まりやさんが放った80年発表の作品。
このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。
「なぜ、ここに竹内まりやが?」と思う方も多いだろうが、とんでもなく素晴らしいド真ん中AORを堂々とやってのけているのである。
L.A.と東京で録音された本作だが、アイドル的扱いで彗星の如くニュー・ミュージック・シーンに登場した、まりやさんの意欲作と捉えて良いのかも知れない。
前半5曲がL.A.録音、後半が東京録音という分かりやすい構成だ。
この後も同じような路線で行っていたら、今現在サガワが一番好きな歌手になっていたかも知れないと思うほど衝撃と感動だった。
理由は当然、L.A.サイドの内容にある。
Contents
参加メンバー
まず参加メンバーがスゴイ。
ジェイ・グレイドン、デヴィッド・フォスターにジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ハンゲイトと、完全にAIRPLAY+TOTOメンバーが集結。
サウンドについて
これで悪いはずがないと思うが、そこは内容をじっくりとチェック。
キレの良いブラスとファンキーなリズムに腰が浮く1曲目の①SWEETEST MUSICのカッコ良さに思わずニンマリ。
BGVで参加したトム・ケリー、ビル・チャンプリンといった一流どころによる、ブ厚いコーラス・ワークも華を添えている。
そこへ満を持して、まりやさんが歌い上げる。
発音もとても綺麗で素晴らしいコラボレーションだ。
③は山下達郎さん作の名曲をL.A.アレンジで。このグルーヴはジェフにしか叩けない。
続く④は先日ご紹介したジェイの「Past to~」にも収録されている(全く同じオケなので聴き比べると面白い)Secret Love。
後半の東京録音も平均以上の出来ながらも、前半のインパクトの前には霞んでしまうのが惜しい。
「私達のアイドル」だと思われている奥様、「主婦のカリスマ」と思っているお兄さん、お姉さん、ぜひ、本作を聴いて頂きたい。
びっくりするほどアメリカナイズされているサウンドに驚くのは間違いないが、それに上手く溶け込んでいる、まりやさんの実力と40年前の作品とは思えないモダンさ(却って後半の日本録音の方が古くさく聴こえるかも)。
デビュー時の華々しさや、その後主婦のカリスマとなっていく作品にはない谷間に出たアルバムとして、世間的には決して評価は高くないが、間違いなく日本のAOR名盤であると同時に今一度再評価すべき作品である。
93点
データ
1980年:日本(RCA – RHL-8503)
プロデューサー:村上優、宮田茂樹
L. A. Side
1. Sweetest Music
2. Every Night
3. Morning Glory
4. Secret Love
5. Heart To Heart
Tokyo Side
6. 二人のバカンス
7. 遠く離れて (When You’re So Far Away)
8. 雨のドライヴ
9. Farewell Call
コメント