元ホリーズでギタリスト、ヴォーカリストとして活躍したテリー・シルヴェスターのソロ作。
ホリーズのファンはビート・ロック、サイケ、ポップス、ソフト・ロック・ファンが多いと思うが、本作はシンガー・ソングライター、AORファンにも充分アピールする1枚。
その筋のレビューには載ることが少ないせいか、未聴の方にはぜひチェックしていただきたい。
テリー・シルヴェスターのキャリアは古く、元々はジ・エスコーツ(アメリカのR&Bグループとは別)からザ・スウィンギン・ブルー・ジーンズを経てホリーズに加入していることから60年代からバリバリのビート・グループに所属していたロッカーだった。
「Bus Stop」があまりにも有名なホリーズ2回目の絶頂期に『Evolution』『Butterfly 』という少し偏っていながらもサイケ、ソフト・ロック・ファンを虜にした2枚のアルバムを発表、そこで主導権を握っていたのが、後にアメリカに渡り”CSN&Y”の略称でお馴染みのクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングを結成する事になるグレアム・ナッシュ。
ポップ路線を推し量ろうとするスタッフ陣との乖離から遂に中心的立場だったホリーズを脱退、代わるように加入したのがテリー・シルヴェスターだ。
本作は1974年にアメリカで先行して発表した作品に収録内容を変更して本国イギリスでリリースした作品。
オリジナルもさることながら、カヴァー曲もまた素晴らしい。
選曲といい、アレンジといい、目の付け所に感心するばかりで実に良いところ突いてきている。
Contents
トップ・リコメンド
先ずはアルバム・タイトル曲にもなっているスティーヴィー・ワンダー作の②I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)。
ギタリストらしくエフェクティヴなエレキにエレピが上手く絡み、ソフトなヴォーカルが乗る。
コーラス・ワークやストリングスも華を添える、このサウンド・プロダクションは紛れもなくAORそのものだ。
ロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムズのソフト・ロック黄金コンビによる⑨Travellin’ Boyはアート・ガーファンクルをはじめ様々なシンガーにカヴァーされている。
カヴァーの多さでは、こちらも負けていないラストを飾る⑫For The Peace Of All Mankind。
作のこちらは日本では邦題『落ち葉のコンチェルト』として有名で70年代に随分聴かれた方も多いことだろう。
これら強力過ぎるカヴァー曲がバランスよく配置されている関係で注目も集まりやすいが、オリジナル曲も決して劣っているわけではない。
ブリティッシュ・ポップらしい少し湿った雰囲気とストリングスが入る曲調の①Pick Up The Pieces Again、3拍子のリズムが印象的な⑧End Of The Line、サビで一気に広がる⑪Indian Girlなど聴きどころも多く、所謂捨て曲がなく全くダレない。
それも偏にテリー自身のまろやかで優しい声質と確かな楽曲を制作する作曲力の高さを裏付けている。
88点
データ
1976年:イギリス(Polydor – 2383 394)
プロデューサー:ロン・リチャーズ、アラン・パーソンズ、ジェイムス・グリフィン、テリー・シルヴェスター
1. Pick Up The Pieces Again
2. I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)
3. Atlantis
4. It’s Better Off This Way
5. In Motion
6. Make My Day
7. Cable Car
8. End Of The Line
9. Travellin’ Boy
10. It’s Too Late
11. Indian Girl
12. For The Peace Of All Mankind
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