ロック編に続いては主にベーシストとしての影響が大きいソウル・ミュージックの10枚をご紹介。
長年ロックを聴いてきて何も考えず単純なルート弾きに終始しているベース(反面、ルートだけでカッコ良く聴かせるベーシストは恐ろしくレベルが高いと思っているが)の多さに飽きてしまい、休符や間合い、グルーヴを大事にするソウルというジャンルにどんどん惹かれていった。
よく”バネのような”と形容されるが、音楽の場合は「ノリ」に繋がっていて、スクエアなビートでも弾むようなリズムが特徴だ。
また、表現力豊かなヴォーカリストが多く、文字通り魂に響く曲が多いのが魅力的。
Contents
The Supremes
『A’ Go-Go』1966
モータウンの中でも指折りのガール・グループだが、私は何と言ってもダイアナ・ロスの声が好きだ。
あの可愛らしい声とビートの効いたリズム、H=D=Hの作る楽曲との相性は抜群で、キャッチーな楽曲揃いな本作は、もはやポップ・ミュージックとの境はない。
モータウン・ビートと呼ばれ、現在でもなお使用されるリズムを持った「You Can’t Hurry Love」はいつまでも聴いていたい名曲中の名曲。
ガールズ・グループと言ったら真っ先に思い出すのがスプリームズである。
Marvin Gaye
『What’s Going On』1971
私が思うセクシー・ヴォイスNo.1のマーヴィン・ゲイが生み出した歴史的名盤。
歌良し、曲良し、演奏良しと全く隙のない作りで男性ヴォーカルのアルバムとしてこれ以上の作品が思い浮かばない。
時代背景もあって60年代のモータウンを筆頭としたソウル・ミュージックとは異なる、所謂「ニュー・ソウル」と呼ばれる新しいサウンドが誕生した瞬間。
全曲必聴、そしてベーシストは全曲コピー必須。
Aretha Franklin
『Young, Gifted And Black』1972
ソウルの女王とはよく言ったもので、その称号はアリサにこそ相応しいと思う。
圧倒的なパワーと歌唱力を兼ね備えたヴォーカルは他の追随を許さないし、こんなヴォーカリストはもう現れないのではないかとさえ感じる。
好きな作品はたくさんあるが、本作を選んだ理由は主役のアリサを除けば、リズム体のチャック・レイニーとバーナード・パーディーに注目したからだ。
この二人は数々の作品で共演しているが、中でも相性の良さを感じるのが本作で特に「Rock Steady」の跳ねる(ように聴こえる)ビート、ヘヴィに聴かせるノリに深く影響を受けた。
日本人のベーシストの中で細野晴臣さんが好きなのだが、その細野さんがチャック・レイニーに影響を受けているのをモロに感じる。
また間奏で出てくるトム・ダウドのアレンジによるホーン・セクションが印象的で、その後の掛け合いが熱い。
Donny Hathaway
『Live』1972
ライヴ盤があまり好きでない私もダニー・ハサウェイの作品では一番聴いたので選んでしまった。
「ライヴ収録の名盤は?」と聞かれたら本作かKISSの『ALIVE』が思い浮かぶ。
それほどこの盤は有名だが、1枚に凝縮されたこのテンションを味わってしまうとそれも納得してしまう。
ジャズのようにインプロヴィゼーションの応酬で6、70年代のクラシック・ロックに近い熱量は聴いているこちらのテンションを上げてしまう。
まろやかなダニーの声とウーリッツァー(鍵盤)の相性がマッチしていて、マーヴィン・ゲイ同様ニュー・ソウルを代表する1枚。
Alice Clark
『Alice Clark』1972
参加ミュージシャンがハッキリと確定している資料がないことやアリス・クラーク自身が本作以外に作品が無いため詳細に関しても今だ謎が多く、一般レベルでの知名度の割に内容から名盤と評されるアルバム。
とにかくノリが良い。
クラブ受けしそうな楽曲の目白押しで、リピートしてずっと聴いていられる。
グルーヴィーなリズムとホーン・セクションを大々的にフィーチャーした明るい曲が多いので、ソウルに馴染みがない方にもオススメ。
Rufus Featuring Chaka Khan
『Rufusized』1974
アリサ・フランクリンに双璧のヴォーカリストがいるとしたら、それはチャカ・カーンしか考えられない。
あの小さな身体からは考えられない声量、瞬発力・爆発力は人間離れしている。
そのチャカをフロントに据えてのバンド形態なのだから、主役がヴォーカルオンリーにならず、ある意味ソロ作品よりもバランスが良い気がする。
「Once You Get Started」をコピーしたことから思い入れが一番深い作品。
Marlena Shaw
『Who Is This Bitch, Anyway?』1975
ソウルとジャズを1:1でブレンドしたかのようなクロスオーヴァーな作品。
曲はジャジーなのにバックがファンキー&メロウなおかげでかなり黒っぽい。
マリーナのヴォーカルはパンチや粘りがありながらもアドリブでスキャットを入れてきたりとフィーリングを大事に歌うスタイル。
アリサのように突き抜けたシャウトなどはしないが、声がカッコイイのだ。
本作もポップスとの境がなくアッパーな曲からスロー・バラードまでバランスが良い。
ベースはまたもやチャック・レイニー。
ラリー・カールトンを除く当時の参加主要メンバーでの来日ライヴを観たこと忘れられない。
Stevie Wonder
『Songs In The Key Of Life』1976
70年代のスティーヴィー・ワンダーのキレは凄まじい。
72年の『Music of My Mind』あたりから三部作と呼ばれる『Talking Book』『Innervisions』『Fulfillingness’ First Finale』を経てピークに達したのが本作という印象。
これだけの楽曲が一枚に収まりきらずに2枚組に収められたというのが恐ろしい。
曲もそうだが、ローズ、ウーリッツァー、クラヴィ、シンセ・ベースなどキーボード各種を自在に操りながら歌うスティーヴィーの才能にただただ驚くばかり。
既成のソウル・ミュージックとは一線を画すサウンドは誰にも真似出来ず、正真正銘オリジナルのスティーヴィー・ワンダー・ミュージック。
Earth, Wind & Fire
『All ‘N All』1977
アースが好きになってからかなり長い。
彼らの魅力はライヴでのパフォーマンスを重視したエンターテイメント性だと思うが、音源では日本でも「September」のおかげで一時期ディスコで持て囃されたように、リズムとメロディを重視した楽曲が多いのが特徴だ。
自前でホーン・セクションを揃えていることや、2人体制の歴代ギタリスト達は皆リズム・カッティングが得意なプレイヤー(普通は2名いることでタイプの異なるプレイヤーがいることが多い)がおり、楽器隊では唯一メンバー・チェンジがないヴァーディーン・ホワイトの歯切れの良いベースが絡むサウンドはアースならではの魅力。
またメインヴォーカルでありパフォーマーのリーダー、モーリス・ホワイトの他にハイ・トーンのフィリップ・ベイリーやラルフ・ジョンソンという3人体制、さらに歌っていない時には各々パーカッションに回るなど音の厚みが洪水のごとく押し寄せてくる。
AOR的観点では『I Am』を挙げたいところだが、一番彼らの特徴が出て尚且つ自分達のみで完結している本作からはたくさんの勉強させてもらったので、こちらを選んだ。
全く彼らをご存じない方でもライヴ・パフォーマンスを見れば楽しい気持ちにさせられること間違いなし。
Delegation
『Eau De Vie』1979
ソウル・ミュージックはアメリカだけではない!と再認識させられたUKソウルの1枚。
AOR経由でもソウルとの中間でいくつもの名盤が存在するが、中でも楽曲のクオリティが高くジャケット含めて作品としてのまとまりが良いので印象に残っているのが本作。
ブラック・ミュージック特有のクドさがあまりなく、ディスコ然としたサウンド(特にギター)がお好きな方には絶対オススメしたい。
番外編
The Funk Brothers
『The Best Of The Funk Brothers』2004
唯一のコンピ盤で反則の1枚。
モータウンの数あるヒット曲を支えたハウス・バンド、ファンクブラザーズの功績をまとめた
1枚。
私の場合、南部のスタックスよりもやはりモータウンなのである。
華やかで洗練されていて、その後フィラデルフィア・ソウル(俗にいうフィリー・ソウル)と呼ばれる発展系までカバーしていくと日本の歌謡曲・ポップスに通ずる部分が大きく、今現在もとても聴きやすい所が好みである。
もはや伝説と化したモータウンの中でも突出したプレイヤーであり、No.1ベーシストであるジェイムス・ジェマーソンのプレイも手軽に堪能出来る点も大きい。
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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