前回はCDや音源など購入する際の情報の仕入れ方や注目すべき点、注意点などについてお話しさせていただいた。
今回は特に有名盤にありがちな「同じタイトルなのに、やたらと多いバージョンの違い」について、リミックスおよびリマスターの違いについてお話しさせていただこうと思う。
Contents
数あるバージョン、その違いとは?
リイシュー盤で最もよく見かける文言としては「リミックス」や「リマスター」なのではないだろうか。
これは一体何を表しているか、ということに触れてみたい。
まず、大前提として新作としてリリースされる音源には”理由がない限り”、リミックスやリマスターという言葉は当てはまらない。
その訳をお話しする前に簡単なCDなどの音源が出来るまでの工程を振り返ってみたい。
ミュージシャン、作家による作曲
↓
ミュージシャン、作家による編曲
↓
レコーディング
↓
ミキシング
↓ ミックスダウン(トラックダウン)
マスタリング
↓
プレス
大まかにはこのような流れで制作されているわけだが、最近では作曲からマスタリングまでミュージシャンや作家の自宅スタジオで制作されて直接工場にプレスに出すケースも多い。
ミキシングとは、その名の通り録音されてが各楽器を混ぜ合わせる作業である。
ベースやドラム(それもキックやスネアなどというようにバラバラ)、ギター、ヴォーカルなどといったように各楽器が1つのトラックに録音されているものを1つずつ音質調整をした上で混ぜ合わせる作業だ。
昔は2トラックや4トラックが普通であった。
ということは仮に2トラックしかない場合、与えられる部屋が2つしかないところに、それぞれの楽器を入れる(つまり同時録音)しか方法がなかったのだ。
1つのトラックにドラム、ベース、ギター、もう1つのトラックにヴォーカルというような形だ。
では、それにコーラスであったり、ギターソロなどをオーバーダビングする場合はどうするのだろうか?
ヴォーカルを楽器側の1トラックに録音(俗に言うピンポン)して、元々ヴォーカルが入っていたトラックに録音する。
このピンポンを繰り返せば繰り返すほど音質が劣化していくので「昔の音源は音が悪い」と言われてしまうのだ。
技術的にそれしかトラックがない時代だから仕方がないのである。
ところが今は商業的なスタジオはなりを潜め、自宅(=パソコン)上でミックスする機会が多い。
そうなるとバーチャルな世界なので、PCのスペックが上がれば上がるほどトラック数も無限といってもいいほど拡張出来、音質劣化とも無縁になる。
話が若干逸れたが、そういった1トラックずつの音質を調整して混ぜ合わせるのがミキシング、まとめて他の媒体に記録することを「ミックスダウン(またはトラックダウン)」と言う作業である。
それを機材が発達し、今の技術で新たにやり直したのが「リミックス」という作業である。
リマスターについて
それに対してリマスターと言う作業はミキシング(ミックスダウン)後に行われる作業で、まとめられた音源に対しての「全体的な音質補正」が主な作業である。
※厳密にはこの作業はプリ・マスタリングと呼ぶが、ここでは意味が伝わりやすいので便宜上、総称した「マスタリング」と呼ぶことにする。
また、古い音源でテープやレコードなどアナログ音源からCD化する場合、デジタルに変換する際などにもマスタリングをやり直す事も多々ある。
そのような場合は往々にして直面する問題が「ノイズ」である。
“音楽的でないノイズ”の場合は楽曲に対して悪影響しか及ぼさないので、除去することでクリーンな音質となる。
同時に昔の音源はレコーディングの際に大きくし過ぎると直ぐに「歪む」傾向にある(またはその反対で必要以上に歪んでいるものも多い)が音量が抑えられていることも多いので、今の音源と比較した場合に貧弱に聴こえてしまう事から音量、音圧を上げる事もリマスターで解消される目的だ。
※2000年代は反対に「音量の上げ過ぎ」とも言える音源が乱発し(当時の新作だけでなく、リイシュー盤でもその傾向は強い)、音楽的ではない歪みが生じた音源が多く問題になったが、現在ではその傾向も若干薄くなり一定のレベルで落ち着いていると言える。
結局どれを買えば良いのか
同じ再発でも「リマスターがいつ行われたか」によって音質が全く異なるということも念頭に置いておいた方が良いだろう。
丁寧に作られてリマスターはノイズも少なくなり、聴き辛かった部分をクリアに、そして音圧もナチュラルに上がっている。
そのような理由から基本的にリマスターに関しては最新をオススメするが、上記のような時代や粗悪なリマスターだと「ただ音圧を過剰に上げただけ」酷いとマスター・テープが見つからない場合などレコードをマスターとしてノイズ処理もしていない盤も存在するので、必ずしも最新リマスター=必ずしも音楽的に良い音とは限らないとも付け加えておく。
どの時代のマスターが使用されたか、何年のリマスターなのか、高音質バージョンの音源なのか、などは実はすべてフィジカルの場合は表記(主に帯部分に)されていることが多いので、注目してみてほしい。
リミックスはそれぞれの楽器のバランスや存在する楽器が異なったりするので一聴して違いが分かるが、リマスターの場合はその違いが分からない(ただ単に音圧を上げただけの場合などはなおさら)こともザラにある。
ビートルズのような超有名バンドの音源のように何度も再発されている場合は、盤ごとに異なるぐらい違うバージョンがいくつも存在しているので聴き比べてみるのも楽しい。
ちなみにリマスターに比べてリミックスの方が圧倒的に少ないのは
1.楽器同士のバランスや音質が変更されるため良くも悪くも印象が変わる
2.マスタリングより前の作業になるので、それだけ費用と期間が余計にかかる(当然マスタリングもやり直すことになる)。
3.楽曲を管理しているミュージシャンや会社自体にそれだけの情熱があるかどうか
というリスクも付きまとうため、よほど「売れる」もしくはミュージシャン自身が「どうしてもやり直したい」という気持ちがないと今の時代は厳しいものがあるというのが現状だ。
なお、中には「デモ・バージョン」や「オルタネイト・ミックス」などと表記されるトラックがあるが、それらはその名の通り「デモ=完成前の仮トラック」を普通に聴けるようにミックスしたものと認識して問題ないだろう。
当然ながら、それらの楽曲はアルバムの内容よりもクオリティが落ちることが多い。
音楽市場のフィジカル売上は厳しいのは事実であるが、それでも日本はマシな方・・・・というよりまだまだCDで音楽を聴いている人が多い、世界的に見ても稀であり特殊な国である。
枚数が限定されることがほとんどとはいえ、リイシューものも元気で(そもそも本当にCDが売れないならリイシューされるはずがない)毎年のように各ジャンル「世界初CD化」や「日本初CD化」の音源がリリースされている。
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