デビューから一貫して高水準のアルバムを発表し続け、CMやドラマ、映画主題歌などに多くの曲が起用されるなど主婦だけでなくポップス・ファンにも評価される竹内まりや。
2010年代以降、80年代のリアルタイム世代から、それに影響を受けた10年代ミュージシャンまでリヴァイバル・ブームとなった「シティ・ポップ」の名盤である。
とりわけ本作からは近年のシティ・ポップ・ブームを松原みきの「真夜中のドア」と共に象徴するきっかけとなった「プラスティック・ラブ」を収録している事が一番のトピックにはなるが、その他の曲も捨てがたい。
夫・山下達郎のコーラス・ワークが美しいイントロで始まる①もう一度はCMソングとしても使用されたキャッチーなサビが耳に残る曲でアルバムの幕開けには相応しい1曲。
3連のバッキングとお馴染みのエレクトリック・シタールが華を添える③本気でオンリーユー (Let’s Get Married)は英詞ながら美しいメロディーが、やはり”まりや節”だと思わせてくれる曲。これは⑤にも言える事で、80年代のAOR的な雰囲気があるのだが、こんな洋楽っぽい作りの曲でもサラリと歌いこなしてしまうのが、この方の魅力だろう。
実はこの辺りが「日本人離れしている、それまでの邦楽・歌謡曲とは明らかに一線を画す」ような曲の方向性、すなわちお洒落(な響き)で洗練されたポップスに聴こえるのが、海外でもすんなり受け入れられる要因ではないかと思う。
60年代のアメリカン・ポップスの色が濃い⑧マージービートで唄わせて、横揺れのボサノヴァ・ビートが気持ちいい⑨水とあなたと太陽と、達郎氏得意のハーモニーがイントロの独断場となる⑩ふたりはステディなど、どれも良質で一切の無駄のない厳選され文字通りヴァラエティ豊かなポップスが多数収録されている。
Contents
トップ・リコメンド
プラスティック・ラブをおいて他にはない。
日本だけにとどまらず、世界規模で日本のシティ・ポップがフィーチャーされたのはこの曲のおかげだ。
元々「山下達郎が歌いそうな曲を作ってみた」とはご本人の弁だが、それをアレンジしている達郎氏の手腕にも注目したい、というよりソウルやファンクなどのブラック・ミュージックにも精通している達郎氏からすれば、この手のビートはお得意であることは間違いない。
だがこの時、2010年代に入ってこの曲が流行るなんて誰が想像しただろうか。
アイドル的な扱いを受けていた初期から結婚、長期休業なども挟んだが、本作で全面山下達郎プロデュースという前評判の高さも相まってその後の方向性がより明確になり、一人のシンガー・ソングライターとしての地位を確立するターニング・ポイントのアルバムといっても良いのではないだろうか。
今現在もアルバムを発表し続けてライヴ・パフォーマンス同様、衰え知らずの変わらぬ歌声を届けてくれるのには本当に驚かされる。
また、昭和・平成・令和の3時代すべてでオリコン1位を獲得した初の女性ミュージシャンという点からも人気・実力を兼ね備えた稀有な存在であることを改めて証明した。
91点
データ
1984年:日本(Moon Records (5) – MOON-28018)
プロデューサー:山下達郎
1. もう一度
2. Plastic Love
3. 本気でオンリーユー (Let’s Get Married)
4. One Night Stand
5. Broken Heart
6. アンフィシアターの夜
7. とどかぬ想い
8. マージービートで唄わせて
9. 水とあなたと太陽と
10. ふたりはステディ
11. シェットランドに頬をうずめて
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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