名前から想像出来るようにイタリア系オーストラリア人ジノ・クニコ。
笑顔の優男が放つアルバムはボズ・スキャッグスの名盤シルク・ディグリースがリリースされた年と同じ76年発表。
Contents
サウンドについて
古き良きアメリカン・ポップス然とした曲調とソウルを感じさせる音作りが特徴的なサウンドだ。
プロデューサーのヴィニ・ポンシアはソフト・ロック・ファンならお馴染みの名前。
フィル・スペクター門下生であり、ピーター・アンダースとのコンビで「アンダース&ポンシア」結成。そしてメリサ・マンチェスターのプロデュースを手がけたことで有名。
①Dayderamer、②She’s Sweet, She’s Somebodyを聴けば76年発表とはいえ、王道路線のAORを堪能出来る。
声質とメロディは甘く爽やか、そこに優しいストリングスが包み込む。
打ち込みもない、機材も発達していないこの時代にあって生楽器を多用するオーガニックなサウンドは非常に心地良い。
小刻みなカッティングがファンキーなギターとブラスをフィーチャーしたノリの良い③Can’t Hold On Any Longerはマイアミ・ソウル風サウンドで腰が浮く。
続く④When I Wanted Youはサビの展開が泣けるバラード。
こういった流れでアッパーな曲調から急激にクール・ダウンする曲を持って来るというのは王道ではあるが、やはり前の曲でテンションが上がっているだけにグッとくる。
さらに続くのはフッと力を抜いたような⑤Fanny。
聴き手側の感情をコントロールするが如くの絶妙な流れである。
その中でもなんと、オリヴィア・ニュートンジョンがカバーした⑦Don’t Throw It All Awayなんていう曲もある。
ヒット曲が出たり特別有名ではないものの、良作である事は間違いない。
74点
データ
1976年:アメリカ(Arista – AL 4117)
プロデューサー:ヴィニ・ポンシア
1. Daydreamer
2. She’s Sweet, She’s Somebody
3. Can’t Hold On Any Longer
4. When I Wanted You
5. Fanny (Be Tender With My Love)
6. Can’t Smile Without You
7. Don’t Throw It All Away
8. Don’t Get Around Much Anymore
9. Emptiness
10. Can’t Hold On Any Longer (Reprise)
コメント