夜に聴きたくなるジャジーなAORではマーク=アーモンドを挙げたが、今回はその片割れジョン・マークのソロ・アルバムを取り上げたい。
ガイド本や数あるAOR系ブログの中でも取り上げられる機会がイマイチ少ないように思えるが、アコースティック・ギターを片手にナイーヴな歌声を聴くだけで癒される想い。
都会的なサウンドとはまた違う、素朴で優しさに包まれたサウンド・ディレクションもプレAORとして充分に評価できる作品だ。
サックス&フルート奏者のジョニー・アーモンドと組んでマーク=アーモンドとして如何にも英国産らしいジャズ・ロックをベースとしたサウンドを届けてくれていたが、年作「73」を機にグループは活動を停止。
それから2年後、1975年になって発表されたジョン・マークのソロ・デビューアルバムが本作。
Contents
聴きどころ
①Signal Hillこそ以外にもピアノ主体で始まるがジョン・マークの”あの”歌声は健在。この1曲目でアルバムの全体像に予測がつくが、その後を聴き続けてもその想像が間違っていないことを思わせてくれる。
本作の雰囲気は陽ではなく、陰の部分が多い「男の人生」を描いたホロ苦いコンセプト・アルバムなのだ。
②Joeyアコギとストリングをバックに歌い、本作で一番多用されたサウンド・プロダクションになっている。
③Ballad Of The Careless Manは再びピアノをメインに据えるが、ここでもストリングスが物悲しく花を添え、スキャットする女性BGV(ソプラノ歌手)、ウッド・ベースが入るがリズム体の要であるドラムは採用されていない。
本作はアコギまたはピアノとストリングス、そしてこのメゾ・ソプラノ歌手サリ・テリの歌声がキーになっている。
エレピをフィーチャーして唯一、明るく始まると思われた④Someday I’ll Build A Boatもメロディは泣いている。インタールード(間奏)でスティール・ドラムをフィーチャーするのも作中のアクセントとして効果は抜群。
⑥Liars Of Loveはクラシックからの影響を感じさせるピアノのイントロや裏メロが印象的で、こちらもアクセントとなる曲。
アレンジもサリ・テリの歌声とクライマックスの盛り上げ方が凄い。
⑧Old People’s Homesもクラシカルなピアノとストリングスをバックに歌うマーク。
ラスト⑨Carouselはストリングスをバックに語りが入り、アルバムの締め括りに相応しい楽曲だ。
全体的にストリングスがかなり大袈裟な形で前面に出ているが、それもアコギ(またはピアノ)とマーク自身の声をブラッシュアップするのに一役買っている。
参加メンバー
ロン・カーター(AB)、ラリー・ネクテル(B)、ハル・ブレイン(Per)、ヴィクター・フェルドマン(Vib、Tim)、トミー・アイア(K)、サリ・テリ(BGV)等
儚げ且つ繊細で美しい、ジョン・マークの描き出す世界観はハマったら最後、ドップリ浸かると中々抜け出せそうにない。
86点
データ
1975年:アメリカ(Columbia – PC 33339)
プロデューサー:ロイ・ヘイリー
1.Signal Hill
2.Joey
3.Ballad Of The Careless Man
4.Someday I’ll Build A Boat
5.The Bay
6.Liars Of Love
7.Alone With My Shadow
8.Old People’s Homes
9.Carousel
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