新世代のデヴィッド・フォスターと称されるイタリアのシンガー・ソングライター、マルコ・タジアスコの２ｎｄアルバムで０８年発表。
AOR界には珍しいイタリアのアーティストだが、サウンドはまさしくアメリカは西海岸産。
同じイタリア人でもアラン・ソレンティ(以前紹介したジェイ・グレイドンのプロデュース作で有名)とはまったく系統の異なるタイプで、実に男らしい渋い声が特徴である。
この渋さは要所要所で出てくるサックスと共に”男性AOR”でなければ出せない雰囲気だ。
ダンディーという言葉がピッタリのアルバムである。
イタリア独特のゆったりとした雰囲気にウエスト・コースト・サウンドがプラスされ、リアルタイムでAORを聴いてきたファンにも充分アピール出来る内容だろう。
ボビー・コールドウェルやランディ・グッドラム辺りが好きな方には特にオススメ。
本作にはデヴィッド・パックやエリック・タッグ(そういえば声質が似ている)がゲスト・参加。
マルコとの相性もバッチリで、しっかり華を添えている。
また曲作りのセンスも良く、甘美なメロディにお洒落なアレンジ、特にアコギのストロークと粘りのある多弦ベースとの絡みが如何にも現代的で好感が持てる。
強いて注文を付けさせてもらえれば、１曲でもクセのあるような曲やヒット曲になりそうな曲が欲しいところだろう。
コンポーザー、アレンジャー、キーボーディストとして、素晴らしい腕を振るう新世代の注目アーティスト、次回作にも期待したい。
７９点
データ
２００８年：イタリア(Mr. T Records – MRTO108)
プロデューサー：マルコ・タジアスコ
1. Another Waste Of Time
2. This Moment
3. Radio Silence
4. Let My Love Grow
5. Can´t Bring Back Yesterday
6. April In My Heart
7. You´ve Been Runnin´
8. From A Distance
9. Before The End Of Time
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