Carpenters / Close To You

Sagaworld Remaster CD Review

2023.09.18

ソフト・ロック、MORのみならず全ポップス・ファンは必聴、泣く子も黙るNo.1ポップデュオ、カーペンターズの２ｎｄアルバム。

全米１位にも輝いた、まさに７０年代を代表する名盤中の名盤。

Contents

トップ・リコメンド
聴きどころ
データ

トップ・リコメンド

何と言ってもバート・バカラック作、歴史的名曲の「Close To You」を収録し、アルバム・タイトルにもなったカーペンターズ

この曲のリズムをリチャードがシャッフル(ハネた３連のリズム)に変えたのが一番のポイント。

そして最後を「Wahー」と言うコーラス・ワーク(途中、カレンのアイディアで一瞬”クう”ところも芸が細かい)で締めるなど、本家のバカラックからしたら「してやられた！」といったところだろう。

ディオンヌ・ワーウィックやダスティ・スプリングフィールドもカヴァーしている。

聴きどころ

ここからさらに２曲、⑦BABY IT’S YOUと⑧I’LL NEVER FALL IN LOVE AGAINもバカラック作品が続く。

そしてもう１曲忘れてはならない歴史的名曲、その２。

それがClose To Youと双璧のロジャー・ニコルス＆ポール・ウィリアムス作品①We’ve Only Just Begunだ。

やや地味だが同じくロジャー＆ポール作品の⑪I Kept On Loving YouもWe’ve Only Just BegunとClose To Youが無ければトップ・リコメンドに推したい名曲。

個人的にはこの曲で締めたかった。

また、カヴァーとしてはWe’ve Only Just BegunとClose To Youが突出している為、イマイチ影が薄いがビートルズの⑤Helpの出来栄えは秀逸。

オルガンとカレンが叩く手数の多いドラム、ハーモニーと、まるでサイケ・ロックのようにスリリングな展開は聴きどころ満載で要注目。

カレンのアルト・ヴォイスの魅力がたっぷりと詰まったクラシカルで荘厳な⑨Crescent Noonやライヴでは欠かせない途中で拍が変わり、プログレッシヴな変則ジャジー⑩Mr. Guderもアルバムのアクセントには外せない作品だ。
Mr. Guderで楽しそうにドラムを叩きながら歌うカレンの姿が目に浮かぶが、このフレージングを叩きながら普通に歌っているというのも考えてみれば、とんでもないスキルである。

メンバーはカーペンターズを見出し、育ての親と言ってもいい、お馴染みベーシストのジョー・オズボーンにレッキング・クルーのボス格であるドラマー、ハル・ブレインとカレンがドラム・パートを分け合い、リチャードの鍵盤が加わるシンプルな編成が中心。

ある意味メンバーの豪華さが目立つAORとは対極にあるが、カーペンターズの場合は分厚いコーラス・ワークとリチャードがコンダクトするオーケストレーションがオケに加わってくるので、物足りさは一切感じないどころか、大量のハーモニーをホイップしたゴージャスなデコレーション・サウンドが特徴だ。

ここから我々がよく知っている有名曲たちが次々に生まれ、カーペンターズの絶頂期が始まる。

９８点

データ

１９７０年：アメリカ(A&M Records – SP-4271)

プロデューサー：ジャック・ドハーティ

1. We’ve Only Just Begun
2. Love Is Surrender
3. Maybe It’s You
4. Reason To Believe
5. Help
6. (They Long To Be) Close To You
7. Baby It’s You
8. I’ll Never Fall In Love Again
9. Crescent Noon
10. Mr. Guder
11. I Kept On Loving You
12. Another Song

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