純粋なジャズ作品からエレクトリックな楽器を多用したジャズ、所謂フュージョンでも成功していて文字通り”クロスオーヴァー”な作品を発表していたジャズ・ファンクの帝王、ラムゼイ・ルイス。
元々モーリス・ホワイトがドラマーだったこともあり、バック・メンバーをそのまま起用した作品を数多く制作していることからアース・ウィンド&ファイアーとの繋がりはかなり深い事でも知られる。
その真骨頂はモーリスがプロデューサーを務めたフュージョン、ソウル・ジャズの『Sun Goddess』は外せない名盤。
一方、1950年代から活躍し、この時既に30枚以上のアルバムを発表していた超ヴェテランの大物ジャズ・シンガー、ナンシー・ウィルソン。
AOR的観点から言えばリオン・ウェアの「If I Ever Lose This Heaven」をカヴァーした75年作のアルバム『Come Get to This』が美味しい。
そんな2人がコラボレーションしたアルバムが84年発表の本作というわけだ。
もっともラムゼイ・ルイスのみのインスト曲とナンシーのヴォーカル曲が交互に出てくる内容なので、生粋のヴォーカル・アルバムとは異なる。
それでも敢えて2人の連名としたところにナンシー・ウィルソンへの敬意を感じる。
プロデューサーにはスタンリー・クラークを起用。
アルバムの中身として、歌ものの楽曲に関してはジャズでもフュージョンでもなく、AORやブラック・コンテンポラリーの枠に入れてしまいたいほどミディアム・チューンが並ぶ。
インスト曲に関しては完全にラムゼイ・ルイスの世界なので、当然ながらそこにナンシーの要素は一切ない。
Contents
トップ・リコメンド
デヴィッド・ロバーツ作②Midnight Rendezvousやフラニー・ゴールディー作の⑦Never Wanna Say Goodnightなどがトピックだが、中でもリオン・ウェアが歌った④Slippin’ Awayがトップ・リコメンド。
ブラック・コンテンポラリー/ソウルAORの名盤、リオン・ウェア82年作『LEON WARE』にも収録されたこの曲はリオン・ウェアとデヴィッド・フォスター、デヴィッド・ペイチが共作しており、アルバムの中でも頭一つ抜けている楽曲だった。
どうしてもこの時代は打ち込みが入ってきた途端、サウンド的にも技術的にも仕方ないとはいえ気持ちが萎えてしまう事が多いのだが、聴き終わった後に残るのは、そうしたネガティヴ要素よりもナンシーの歌声とラムゼイ・ルイスのピアノである。
という事は、それだけ2人の個性が色濃く反映されている作品であるとも言えるのだ。
ポール・ジャクソン(G)、スタンリー・クラーク、フレディ・ワシントンJr.(B)、リッキー・ローソン、ジョン・ロビンソン(Dr)等が参加。
こうして見ると、よく言われるグローヴァー・ワシントンJr.の『Winelight』と雰囲気が近いというのも分かる気がする。
それにしてもジャズ〜フュージョン〜ソウル&ファンク〜AORまで巧みに行ったり来たり出来るラムゼイの懐の深さには感服する。
74点
データ
1984年:アメリカ(Columbia FC 39326)
プロデューサー:スタンリー・クラーク
1.Ram
2.Midnight Rendezvous
3.Breaker Beat
4.Slippin’ Away
5.The Two Of Us
6.Quiet Storm
7.Never Wanna Say Goodnight
8.Closer Than Close
9.Song With Words (Remembering)
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