人呼んで「カレン・カーペンターの再来」と称されるルーマーのセカンド・アルバム。
2000年代以降のポップス・シーンにおいて心を掴まれた数少ないシンガーの1人、ルーマー(本名:サラ・ジョイス)はパキスタン出身、やがてイギリスに移り住み、長い下積み生活を経てバート・バカラックやエルトン・ジョンと共演するなど、大物ミュージシャンをも虜にしたのは紛れもなく歌声そのものにある。
落ち着いたアルト・ヴォイスは、ありとあらゆるポップ・ソングを歌いこなすだけでなく、まるで最初から自分の楽曲かのような色付けをしてしまう力を持っているように感じられる。
この辺りが冒頭のカレン・カーペンターが引き合いに出される要因の1つであろう。
カーペンターズの(主にリチャードの選曲眼+カレンの色付けによる)アレンジ能力は言わずもがな。
ナチュラルでオーガニックなサウンドは決して無理がなく、上品な大人向けポップスが楽しめる。
デビュー・アルバムは本国イギリスで50万枚以上を記録。
カレンだけでなくキャロル・キング、ジョニ・ミッチェル、ローラ・ニーロなど70年代を彩るシンガー・ソングライターを彷彿させるとして、とにかく評論家に大絶賛されていたのを記憶している。
ルーマーのオリジナル曲も良いが、その中でもBREADのデヴィッド・ゲイツ作「Goodbye Girl」をカヴァーしていた事から目に留まった。
それから2年、本作では70年代の男性シンガー・ソングライターの楽曲を取り上げたカヴァー・アルバム。
安易なアレンジによる寄せ集めカヴァーと思って聴くのは待っていただきたい。
1曲1曲を丁寧にアレンジ、且つルーマー色に染め上げた曲がずらりと並び、楽曲に馴染みがない方にはルーマーのオリジナルに聴こえるのではないだろうか。
この際、カヴァーでもオリジナルでも良い。ルーマーの歌そのものが”聴きどころ”である。
選曲も非常にセンスが良いというか、通好み。かと言ってマニアックではない、程よく知名度のある曲を取り上げている。
Contents
トップ・リコメンド
ポール・ウィリアムス&ロジャー・ニコルスというソフト・ロッ界の名コンビによる④Travelin’ Boyを挙げたい。
アート・ガーファンクルもカヴァーしたこの曲の完成度はズバ抜けているので、どう料理しても良い曲にしかならないとさえ思えるような名曲。
次点でジミー・ウェブの① P.F. Sloan、ホール&オーツ⑦Sara Smileあたりがオススメ。
全体的にスロー〜ミドル・テンポのアレンジが並ぶので、アップを求めている方には、あまりオススメできないがクオリティに関しては折り紙付き。
ゆったりとリラックス・ムードな楽曲達は安定のクオリティ。これぞ大人のポップス。
88点
データ
2012年:イギリス(Atlantic – 5053105230716)
プロデューサー:ルーマー、スティーヴ・ブラウン、ジェニー・マスケット
1. P.F. Sloan
2. It Could Be The First Day
3. Be Nice To Me
4. Travelin’ Boy
5. Soulsville 3:47
6. Same Old Tears On A New Background
7. Sara Smile
8. Flyin’ Shoes
9. Home Thoughts From Abroad
10. Just For A Moment
11. Brave Awakening
12. We Will
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