スティーリー・ダンの代表作でもある前作『AJa』より2年の制作期間を経て発表された80年作。
完璧主義者故にレコーディングには莫大な費用と共に妥協なき姿勢を示すドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーはスタジオ・ミュージシャン泣かせでもあるが、このアルバムに関しては制作だけで2年かかったわけではない。
アルバム制作中にウォルター・ベッカーが交通事故に遭い、途中で半年ほどの離脱を余儀なくされ、プライヴェートではパートナーがドラッグの過剰摂取により亡くなるという不幸に見舞われている。
さらにレコーディングを済ませたとある1曲がスタッフの不注意により消してしまうというアクシデントに。
再レコーディングを行うも、結局完成済だったテイクを超えられないと判断した彼等は、なんとその曲自体をアルバムより外すという決断を下す。
その辺のミュージシャンよりも時間をかけ、丹念に制作した楽曲を想定外のアクシデントとはいえ、冷静な判断力とレコーディングを止める勇気は、どこまでも完璧主義な2人を象徴するエピソードである。
さらにミキシングではエンジニアのロジャー・ニコルズ、プロデューサーのゲイリー・カッツを交え幾度となくやり直したり、よりパーフェクトなリズムを追求するあまり、当時日本円にして数千万円とも言われるシーケンサーを制作、ドラムのフィルに使用したりサウンド面でも抜かりなく向上を目指す。
AORの楽しみの1つである参加メンバーも豪華というか、超一流S級スタジオ・ミュージシャンが集結し過ぎていて、もはやこの人達でないと集めるのは無理だと思わざる得ない。
Contents
参加メンバー
主だったところを挙げるとスティーヴ・ガッド、ジェフ・ポーカロ、バーナード・パーディー、リック・マロッタ(Dr)、チャック・レイニー、アンソニー・ジャクソン(B)、ドン・グロルニック、ロブ・マウンジー、ジョー・サンプル(K)スティーヴ・カーン、ラリー・カールトン、マーク・ノップラー、ハイラム・ブロック、リック・デリンジャー(G)、マイケル・ブレッカー、トム・スコット、マイケル・ブレッカー(Sax)、ランディ・ブレッカー(Tr)、ヴァレリー・シンプソン、パティ・オースティン、マイケル・マクドナルド(BGV)等。
ジャズ、フュージョンからソウル、R&Bのミュージシャンまで曲毎に使い分けている。
トータルタイムは40分弱と”アルバム名盤の法則”の条件を満たしているが、収録曲が7曲と少ないのは、そういった苦難の末に生まれた作品だからである。
完璧主義だからこそ、安易にカヴァーや頭数を揃えるだけの適当な曲で埋めるような真似などを絶対にしない分、内容は折り紙付き。
普段音質云々について良い方に関しては触れるのを控えているが(一定以上ならば優良評価対象外と思っている、特別粗悪なものは、また別・・・)今の時代に聴いても通用してしまう音質に驚愕。
92点
データ
1980年:アメリカ(MCA Records – MCA-6102)
プロデューサー:ゲイリー・カッツ
1. Babylon Sisters
2. Hey Nineteen
3. Glamour Profession
4. Gaucho
5. Time Out Of Mind
6. My Rival
7. Third World Man
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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