73年にデビューを飾った兄弟ソウル・グループ5人組による80年作。デヴィッド・フォスターが関わった作品としてAORファンにはマストな1枚。
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サウンドについて
「メンバー全員がリードをとれる」という触れ込みからも分かるように実力派シンガー5人が揃っている所がグループ最大の売りである。
それが先日ご紹介したウォーターズのように兄弟ときているものだから、コーラス・ワークのまとまりも抜群。
AOR的観点から言えば、ペイジズの仕掛け人ボビー・コロンビーとデヴィッド・フォスターを起用した事により、より都会的なイメージでポップス・フィールドに急接近してきたアルバムといえる。
彼等のようにコーラス・ワークがしっかりしていると単なるバック・グラウンド・ヴォーカルではなく、1つのパートのように扱える為、楽器と同じような機能を果たしている。
また、その爽やかさと都会的=陰がありながらもムーディーな音作りが絶妙にマッチしているのが一番の聴き所だろう。
さらに注目すべきは②We both triedと⑥I Don’t want you anymoreの2曲。
I Don’t~に関してはTOTOやエアプレイを彷彿させるなどと書いてあるが、ここでビル・チャンプリンの名前を出さない理由が分からない。
そう、この2曲はビルが自身のバンド、サンズ・オブ・チャンプリンを解散してからのソロ第1弾「SINGLE(独身貴族)」に収録されていた2曲なのである。
このアルバムはデヴィッド・フォスターがプロデュースした作品だ。
アルバム全8曲中2曲を一人の、、、、しかも同じアルバムからカバーさせたという事はデヴィッドなりの思惑があったのだろう。
新たにリ・アレンジされている事からもビル自身の想いとは別にデヴィッドの思い入れがあった事は間違いない。(個人的にはオリジナルの方がビルのヴォーカルとデヴィッド・ハンゲイトのベースがスリリングで好きだが)
④Why can’t we fall in loveもデヴィッド・フォスターがプロデュースしたデニース・ウィリアムスが歌った名曲(ちなみにこちらもオリジナルはハンゲイト先生大活躍!)
このように、黒人グループでありながらも白人要素が強い部分がソウル・ファンにイマイチ受け入れられない部分になるのかも知れないが、AORファンとしてはこれぐらいの方が気軽にソウル・ミュージックに触れられるかも知れないと思うと、敬遠するには勿体ないアルバムである。
89点
データ
1980年:アメリカ(Capitol Records – ST-12026)
プロデューサー:ボビー・コロンビー、ベンジャミン・ライト
1. Bad Times
2. We Both Tried
3. Can’t Get Enough
4. Why Can’t We Fall In Love
5. I Just Can’t Go On Living Without You
6. I Don’t Want You Anymore
7. Paradise
8. Got To Have Your Love
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