カントリー・ポップ界の大物にして今もなお現役、アメリカの良心とも言える伝説のシンガー・ソングライター、ウィリー・ネルソンの1982年作。
生粋のAORアルバムからは外れたところに位置するが、昨今ノラ・ジョーンズのようなジャズ・ヴォーカル・アルバムをAORと捉える向きもあるので、それと同じ様に、ぜひ聴いていただきたい内容となっている。
ウィリー・ネルソンという人はキャリアにして70年余り、保守派が多いナッシュビルの関係者からはカントリーという枠を飛び越えて、あらゆるスタンダード・ナンバーを歌いこなすので、まるで異端児扱いだったとのことだが(確かに服装も若い頃はヒッピー・スタイルでライヴを見てもスタンダードを歌う割合も多い)、こうなってくるとAORの特徴の1つであるキーワード「クロス・オーヴァー」にも当てはまってくる。
この頃のヒット曲はAOR視点で見ても注目で、チャートにはTOTOの名曲「Rossana」やレイ・パーカーJr.の「The Other Woman」なども入っている。
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トップ・リコメンド
そんな曲達の次にチャート・インしたのが、本作のトップ・リコメンドとなる①Always on My Mind。
個人的にこの曲は何度聴いたか、数え切れない。
エルヴィス・プレスリーのカヴァーだが、ウィリー・ネルソンのヒットによって原曲にもスポットが当たるという逆輸入方式。
別れた女性に対する男心を切なくもカントリー・サウンドで歌いあげるウィリーのスタイルには号泣もの。
変わらずライヴで歌われる名曲中の名曲と言っても過言ではない。
その他こちらも名曲、プロコル・ハルムの③A Whiter Shade Of Paleやサイモン&ガーファンクル⑥Bridge Over Troubled Waterなども収録されているが、安易なカヴァーにならず、しっかりとウィリー・ネルソン色に染め上げている。
聴きどころ
優しく独特な間合い(タメが効いた間の取り方)で歌い上げるヴォーカル、そして現在も使用しているボロボロになって一部ボディが陥没したアコースティック・ギターを抱えながら歌うのも特徴的。
ライヴでは特にギターにしてもソロやオブリをプレイすることが多いのだが、とにかくタメる、崩す、とヴォーカル同様「歌っている」のだ。
アジのあるヴォーカルとギターが実に心地いい(ヴォーカルなどは下手したらノリが3連になっているほどの崩し方で、これがまたカッコイイ!)。
当時から現在もプレイ・スタイルは変わらず、年齢を重ねて渋さが増しているようだ。
新作もリリースし続けてライヴも行うなど「生涯現役」を貫いているかのような精力的活動に大先輩として感服するのみ。
カントリーのみならず、馴染みのあるポップス・サウンドに仕上がっているので、ゆったりとした気持ちで聴けるアルバム。
88点
データ
1982年:アメリカ(Columbia – FC 37951)
プロデューサー:チップス・モーマン
1. Do Right Woman, Do Right Man
2. Always On My Mind
3. A Whiter Shade Of Pale
4. Let It Be Me
5. Staring Each Other Down
6. Bridge Over Troubled Water
7. Old Fords And A Natural Stone
8. Permanently Lonely
9. Last Thing I Needed First Thing This Morning
10. The Party’s Over
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