私を形成する10枚 〜ソフト・ロック編〜

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日本独自の考え方でジャンル分けされるソフト・ロック。

このジャンルも手を出した時から驚きと感動を与えてくれ、楽曲制作にかなり影響を受けたので10枚選んでみたいと思う。

中身を見れば、さらに驚きの結果が・・・!!

ロックと名がついても生粋のロックファンからすれば全くロックでない、どちらかといえば「ポップス」の方がニュアンスとしては近い。

では、なぜロックでもポップスにも入らず、わざわざソフト・ロックと名付けたのか。

複雑かつ高度なコーラス・ワークやメロディをポップス以上に重視し、当時のロックバンドよりも実験的、時にサイケデリックに攻めた音作り、など違いが大きいのでどちらにも入れらないグループが多いのが特徴である。

そして生まれた作品のほとんどが60年代後半・・・・それも68年ばかりである事に驚く!

Contents

THE BEACH BOYS

『Pet Sounds』 1966

サーフ・ロックから転身したビーチ・ボーイズがリリースしたソフト・ロックという枠を早くも超えた金字塔。

天才ブライアン・ウィルソンの色がより濃く出た作品で、アルバムを一度だけプレイしても内容の良さが直ぐに伝わってこないかもしれない。

それでも聴けば聴くほど段々と良さが滲み出てくるような不思議な魅力がある。

どんなに複雑なことをやっても美しくキャッチーなメロディと爽やかさを失わないので、まずは1曲目の「Wouldn’t It Be Nice」を聴いてみてほしい。

 

HOLLIES

『Butterfly』 1967

ビートルズの2番煎じ的なイメージのホリーズだが、ソフト・ロック枠に入るこの作品ではサイケデリックな音作りを提示しながらも、元々の甘いメロディとコーラス・ワークは失わず非常に聴きやすい1枚になっている。

トップ・リコメンドや有名曲が無くとも、どれも平均点以上の楽曲が並んでいるので、ひょっとしたら彼らをご存知ない方でも聴いて損はないアルバムではないだろうか。

一にも二にもサイケ、主に音作りという点で影響を受けた。

 

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends

『‎Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』  1968

ソフト・ロックといえば!というこれぞ真打、王道の1枚。AORで言うところの「AIRPLAY」と私の中では同じ立ち位置。

要するにソフト・ロックというジャンルのバイブルであり、きっかけにもなる1枚でもある。

曲作りという点ではこのジャンルで一番影響を受けたと思うロジャー・ニコルスが自身の冠をつけたグループ唯一の作品であり、その後カーペンターズにも多くの楽曲を提供したことを考えると別格。

 

The Millennium

『Begin』 1968

先に挙げたRoger Nichols & The Small Circle Of FriendsをAORで言う「AIRPLAY」と例えるならば、このミレニアムはソフト・ロックの「STEELY DAN」といったところ。

膨大な制作費をかけ、凝りに凝ったサウンド。

そういった場合、歯止めが効かなくなってリスナーを置き去りに自分達のやりたい様な音作りになりがち、一聴すると難解に聴こえがちになるところをメロディとコーラス・ワーク、様々な音の仕掛けを配置し、一種の芸術的作品に仕上げているのだ。

この作品だけは「影響を受けた」と言うよりも「絶対真似出来ないだろうが美しいアルバム」として強烈な印象を残した。

60年代という時代を感じさせない内容、今聴いてもこんなこと出来るバンドなんてなかなか見つからないと思う。

 

SAGITTARIUS

『Present Tense』 1968

ミレニアムからの派生して生まれた作品。

インパクトのあるジャケットは実際にアルバムを聴く以前からずっと覚えていた。

ミレニアムほど凝りを見せずシンプルにオーガニックなアコースティック・サウンドはサイモン&ガーファンクルに近いものを感じ、彼等が大好きな私としてはサジタリアスも直ぐに気に入った1枚になった。

バロック・ポップのようなクラシックを感じる音使いと、どこか物悲しいメロディやストリングスがまた良い。

常日頃から「瞬間風速なら、あのブライアン・ウィルソンを凌ぐ!」と言い続けている”コーラスの魔術師”カート・ベッチャーの魅力がミレニアムよりダイレクトに味わえる。

THE ASSOCIATION

『Birthday』 1968

ソフト・ロックで一番好きなバンドは?と聞かれたら真っ先に彼等を挙げるであろう。

モンキーズ同様、バンドと言っても本作ではメンバー自体が演奏をせずにスタジオ・ミュージシャンが演奏しているが、その分メロディとコーラス・ワークが充実。

シンプルなバックの演奏だけに余計にメロディがフィーチャーされ、これまた捨て曲が一切ない1枚だ。

ベースは一聴して分かるジョー・オズボーンが弾いていることから絶対外せない1枚。

 

THE ZOMBIES

『Odessey And Oracle』 1968

世界一バンド名で損をしていると噂されるゾンビーズの最高傑作。

ミレニアム同様かなり好き放題やっているのだが、イギリスのグループだけあって音作りとメロディはかなりクラシカル。

ミレニアムとこのゾンビーズを聴けば、同じサイケデリックなソフト・ロックでもアメリカとイギリスの対比が楽しめるだろう。

オルガンの使い方とメロディ、コーラス・ワークがとても印象に残っている。

ジャケットのカラフルな色使いも良い。60年大好きには堪らないデザインだ。

SALT WATER TAFFY

『Finders Keepers』 1968

おそらく今回の中では一番知名度が低い1枚、グループだと思う。

そんな中でも私がイチオシしたいほどの内容、ジャケットのビジュアル(デザイン&お姉さん)も群を抜いて良いのがこのソルト・ウォーター・タフィーのアルバム。

ポップ・サウンドからモータウン、ボサノヴァ、フォークなどを同比率で混ぜ合わせて、ついでにヴォーカルも男女で上手い具合にブレンド、するとソルト・ウォーター・タフィーの出来上がりである。

とにかく曲が良い、メロディが良い、駄作一切なしの誰にでも自信を持ってお勧めできる。

PAUL WILLIAMS

『Someday Man』 1970

カーペンターズに楽曲多く提供してたロジャー・ニコルスが作曲、その時に多くの作品で作詞を担当したのがこのポール・ウィリアムス。

共にシンガー・ソングライターでありヴォーカルもとるが、ピアノをはじめギターなども弾き、作曲などの裏方に回ったロジャーに比べ、ヴォーカリストとしての立場を確立し、時には俳優など表に出る事を選んだのがポール・ウィリアムス。

独特な声質を武器に本作以降何枚もソロ・アルバムを制作するが、この作品ではプロデュースをロジャーが担当していることが大きく、コンビとして相性の良さが窺えた。

 

CASS ELLIOT

『Cass Elliot』 1972

ソフト・ロック枠で安定した歌唱力と明るく陽気で類稀なキャラクターから突出した女性ヴォーカリストがこのキャス・エリオットだ。

元々はマグワンプス、ママス&パパスと渡り歩き、コーラス・グループの一人という立場だったがソロになってからは持っている歌唱力から、より実力にスポットが当たるようになった。

以前、こちらでレビューした時はバブルガム・ポップの王道をいく2ndだったが、影響という点では本作の方が圧倒的に軍配が上がる。
この作品も自分で聴くよりも前からアルバム・ジャケットは把握していたので、初めて聴いた時も目新しい新鮮さは無かった。

その分、ヴォーカルとアレンジに集中して聴くとキャス・エリオットという歌手を主人公に見立てて選りすぐりの楽曲を集めた印象。

敢えて一般的にニックネームで浸透していた”ママ・キャス”よりも自身の名前を付けたアルバム・タイトルに覚悟を感じる。

ベースはなんと!師匠キャロル・ケイとジョー・オズボーン先生の2人。

同じレッキング・クルーのメンバーに数えられながら共演がほとんどないという、かなり意外な組み合わせ。

 

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