私を形成する10枚 〜J-Pop編〜

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割合として圧倒的に枚数が多いので洋楽一辺倒になりがちだが邦楽でも好きなグループはたくさんいる。

最初に聴き始めてから今もずっと好きで定期的に聴いていられるグループというのは、実はそう多くない。

それ故、本日挙げる10枚は、いつも以上に思い入れの深い音源達。

10枚に収めるのは結構迷った。

Contents

荒井由実

『Cobalt Hour』1975

ユーミンに目覚めたのは結構遅い。

モノマネ番組などで必ず歌われる「卒業写真」など有名曲は知っていたが、それ以上聴いてみようという気にはならなかった。

主婦のカリスマ的存在という認識でしかなかったのだが、ある日ティン・パン・アレー(細野晴臣、林立夫、鈴木茂、松任谷正隆)をはっぴいえんど経由で知った時からハマってしまった。

ユーミンの強烈な個性に負けないどっしりと存在感のある演奏。

加えてユーミンの作詞以上に曲(コード進行)の独特なオリジナリティに二度ビックリしてしまい、私にとってもカリスマになってしまった(笑)

大橋純子 & 美乃家セントラル・ステイション

『Crystal City』1977

AORやハード・ロック、ヘヴィ・メタルからソウル・ミュージックにのめり込んだ時、当然のように日本人でそういったサウンドでバンドをやっている人はいないものかと長年探していたのだが、ノリのせいなのか、歌い回しのせいなのか、どうしてもそれらしい人が見つからず、やはり日本人には合わないジャンル(ソウルはアメリカの演歌だと思っている)だからなのか・・・と諦めていたところにソウル、ファンクを体現した歌手に出会った一人が大橋純子さんだった。

歌が上手いのは当然として、パワーもあり声は伸びる上にバックもバンド形態という事でカッコよくファンキー。

この美乃家セントラル・ステイション時代はたくさん聴いたが、中でも好きな曲が多かったので本作を取り上げた。

シティ・ポップの名盤に数えられる。

竹内まりや

『Miss M』1980

初めて聴いた時にユーミン同様「主婦のカリスマ」だと思っていた竹内まりやさんのアルバムとは思えないほどのギャップに驚き衝撃だった。

事前情報なく聴いていたら完璧にL.A.産のAORである。

もちろんバックのメンバーがAIRPLAY(デヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドン)+TOTOというファンには即クレジット買いのメンツが中心となっているのだが、英語の発音も綺麗でカッコ良く歌いこなす「SWEETEST MUSIC」などは日本人離れしたディスコ・チューン。

ご存知ない方や、既存のまりやファンで、まだ未聴の方に強くオススメしたい。

まりやさんのイメージ変わりますよ!

大瀧詠一

『A Long Vacation』1981

たくさんのCMで耳にしていた大瀧ソング。

聞くと幼少の頃(昭和時代)を思い出す、それほど懐かしさを感じるのはTVでずっと耳にして頭の片隅に記憶として残っているからだろう。

インタビューやラジオでのお話ぶりを聞いていると非常にユーモア・センスのある方だなという印象で、ご自身の曲やアルバムでもいたるところに仕掛け(歌詞に隠された意味や敢えて既存曲、それも複数の音楽を匂わせながらも上手くミックスしている)が施されており、企画物のように”遊び心”を感じる内容が多い。

そんな中で今までのような笑いがなく、かなり真面目に(?)作られたような本作は日本で初めてリリースされたCD作品とも言われるが、もはや説明不要の大瀧ワールド。

フィル・スペクターのようにウォール・オブ・サウンド(各パート最低2人以上、複数の楽器で同時に録音する手法)に挑戦し、シティ・ポップどころか日本音楽史にも名を刻む金字塔とも言える内容。

山下達郎

『For You』1982

ジャケットといい、サウンド・プロダクションといい、AOR経由で聴いても何の違和感もない最高傑作の1枚。

特定のイメージや枠組みに押し込められることはミュージシャン自身の意思とは違う部分で語られる事は少なくないが、日本人が好きなジャンルの細分化にフィルターをかけていくと「AOR」や「夏」「海」みたいなイメージになりやすいのは否定出来ない。
隙間を多く作るリズム体と達郎さんの弾くギター・カッティング、ブラスや女性コーラスが厚く乗ってくると、その辺りが好きな方には堪らないサウンドがアルバム全体を通して聴ける。

フラットな心の状態で「Sparkle」を聴いてみていただきたい。

THE BLUE HEARTS

『THE BLUE HEARTS』1987

音楽を聴き始めた最初期に出会って今も変わらない気持ちで聴ける私にとっては珍しい1枚。

何が自分に刺さったのか今も分からない。

それまで音楽が特別好きだったわけでもなく(どちらかと言えば嫌い)、歌詞が響いたわけでなく(この時はそんなに気にしてない)、ただただ「好き」という理由で聴いていた。

ノリが良くてメロディがキャッチー、歌詞も覚えやすいから未だに何となく鼻歌交じりに出てきてしまう・・・知らず知らずのうちに身体に刷り込まれているのだから不思議。

彼らをパンクの神様のように扱う向きもあるが、中身はローリング・ストーンズやザ・ビートルズ、ザ・フーのようなストレートなロックンロール・バンドだと思う。

初めてヒロトさんの歌う姿を見た時は、またそのギャップに驚いたものである。

X

『Jealousy』1991

ブルーハーツと同時期・・・つまり音楽を自分で意識し始めてから並行して聴いていたのがX。組み合わせ的に異なる2組だが、好きだったのだから仕方ない。

Xの場合はロゴのイメージ(当時は髑髏と薔薇)に加えて美しい曲、激しい曲に男性とは思えないハイ・トーンのヴォーカルが乗っているバンドという認識。

今にして思えば初めて演奏のカッコ良さを感じたバンドと言ってもいいだろう。

ベースに関しても当時のメンバーTAIJIさんはヴィジュアルも良い上に演奏も上手くて、アイディアも豊富とコピーするのもかなりレベルが高かった。

YOSHIKIさんの書くアップテンポな曲にストリングスが乗るパターンの楽曲は、その後ヘヴィ・メタルを聴いても存分に影響された。

それらの要素が頂点に達したと思われる本作が推したい1枚。

私にとってX JAPANではなくXなのだ。

森高千里

『Step By Step』1994

人によっては意外に思われるかも知れないが、ご存知の方はご存知、私の森高狂い。

神です。

アイドルでも歌手でも呼び方はどちらでも良いのかも知れないが、個性的な歌詞と鼻にかかったような声で人によっては上手く聴こえないらしい。

だが、この人が凄いのは動き回っていても音程を決して外さないのである。

そして言うまでもなくヴィジュアル。ここが突き抜けているからこそアイドル視されるが、その反面負けん気の強さが出ている歌詞から充分に内面はロックを感じさせる。

色々な楽器をプレイするマルチ・プレイヤーでもあるが、中でも吹奏楽上がりのドラムが抜群に良い。

フィルはほぼタム回しかスネアを連打するだけという、これ以上ないぐらいシンプルなプレイなのだが、冗談でも何でもなくリンゴ・スターを彷彿させるドラムだと思う。

絶妙なスネアのピッチとダカダカと鳴るドラミングを中心に、ギターやベースの音など『Lucky 7』辺りからフェイバリットのビートルズ・サウンドそのままが聴けるので、恐らく確信犯だろう。

その真骨頂が本作収録でCMのタイアップ曲だった後期森高の代表曲の一つ『気分爽快』だ。

ビートルズ・フリークとして名高いL⇔Rの黒沢健一さんが作曲している所からもサウンド・プロダクションに納得。

ビートルズ・ファンの方も一度は聴いてみてほしい。

JUDY AND MARY

『J・A・M』1994

どハマりして隅々までコピーしたバンドの一つ。
それまでは女性がいるバンドというとSHOW-YA、ピンク・サファイア、プリンセス・プリンセス、レベッカ、リンドバーグなどがいたが、ロリータ・ヴォイスと評されるYUKIさんのような声で歌っているヴォーカリストはいなかった。

この頃は世間で「ジュディマリ」なんて呼ばれるもっともっと前の頃で、ジャクスン・ジョーカーのRADY(ベースの恩田氏が前に組んでいたバンド、ステージネーム)が組んだバンドでキンキン声の女の子が歌っているという、そのアンバランス感が面白かった。

このアルバムは恩田氏のソロ・アルバム的な印象が強く、楽曲はストレートなロックンロールとパンクといった雰囲気。

歪んだベースの音がカッコ良く、脱退した藤本泰司氏のハード・ロックなギターから加入して間もないTAKUYA氏のシャキシャキとしたギター・サウンドにチェンジするのだが、その音がまた気持ちイイ。

聖飢魔Ⅱ

『News』1997

地球デビュー後も何度かメンバー・チェンジを行なっている聖飢魔Ⅱだが、特に現構成員+エース清水長官がメンバーだった頃の演奏能力はズバ抜けて高い。

その姿より時折「KISSのパクリだ」とか「おふざけのコミックバンド」という全く見当違いな批判を目にする事もあるが、先ずは肝心の中身、音楽そのものを聴いていただきたい。

メロディがあって伸びる高音、シャウトが得意なデーモン閣下のヴォーカルに計算されたアンサンブルを聴かせてくれるヘヴィなギター、インスト系フュージョンまでこなせるベースとドラムのタイトなリズム体。

音楽的レベルはその辺のロック・バンドとは比べものにならないほど高い。

創設者ダミアン浜田陛下が書き残した悪魔の世界から解放され、大衆向けポップス寄りになってデジタルとキーボードを上手く取り入れた本作ではかなり上質なハード・ロックを聴かせてくれる。

それまでは数々のハード・ロックバンドが幾度となくポップシーンとの合流を試みるも、どうしてもマニアックな世界観の中に留まることが多かったのだが、聖飢魔ⅡはTVやCMなどメディアにも積極的に進出し、知名度と共に音楽性も発展していった所が他のバンドと決定的に異なる点である。

歌ものハード・ロック作品として本作と次作『MOVE』を一般リスナーにオススメしたい。

 

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