アルバムとしての作詞・作曲・編曲と楽曲全体のクオリティ、ヴォーカルと演奏のパフォーマンス、ジャケットのアートワーク、さらには音質面も含めてシティ・ポップのみならず日本のポップス史上最も重要な1枚。
大滝詠一氏最大のヒット作で現在も収録曲はメディアに使用される名盤である。
細野晴臣、松本隆、鈴木茂と組んだシティ・ポップの源流とも言えるバンド「はっぴいえんど」の名盤となる『風街ろまん』リリース後、いち早くソロ・アルバム『大滝詠一』をリリース。
内容はハーモニー重視のサンシャイン・ポップ、フィル・スペクター直系のウォール・オブ・サウンド、はっぴいえんど時代から影響されているアメリカン・サイケデリック・ロックからリズム体が黒いソウル、ファンク、さらにはジャズやプレスリー風のロックン・ロールまで・・・・実にヴァラエティに富んでいて、音質面を引けば現在でもあまり古さを感じないポップスの楽曲が並んでいるが、肝心のセールスには結びつかず。
大滝自身、ソロ・アルバムをリリースしたものの、完全なソロとしての活動ではなく、プロデュースやCM(タイアップ)曲の制作、そして自ら楽曲の制作、演奏、エンジニア、原盤を管理なども務める「ナイアガラ・レーベル」を設立するなど裏方の活動が多くなる。
その間は山下達郎、伊藤銀次との 『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』や日本では珍しい『NIAGARA CALENDAR』等もリリースするが純粋なソロ・アルバムとしては75年作の『NIAGARA MOON』のみとなった。
レコード会社との契約の問題などもあり、セールス面を意識して制作されたのが本作で1981年発表。
作詞は全てはっぴいえんど時代の盟友であり、後にアイドルから歌謡曲まで数えきれないヒット曲の作詞を手がけた松本隆が担当。
演奏面でも今ではなかなかできない一流のミュージシャンを一度に集め、大量の楽器を配置、一発録音する事によって音の壁=ウォール・オブ・サウンドを再現するなど、かなりの拘りで行われた。
したがって本作に参加したミュージシャンはかなりの数になる。
Contents
トップ・リコメンド
CM、ドラマ、映画のタイアップやカヴァーも含め、現在でもかなり頻度で耳にするアルバムの冒頭曲①君は天然色を挙げたい。
アメリカン・ポップスの”美味しいところ”が楽曲のベースとなっているが、印象的な3連のイントロ、ヴォーカルの透明感、
曲中、普段なかなか使われない場所で転調したり、コードもシンプルだが随所に工夫が見られるなど不自然さは全くなく聴けてしまうところが凄い。
②Velvet Motelは当時アメリカで流行ったAORの定番リフを用いたイントロが印象的だが、ドラムのビートが変則的で面白い。
③カナリア諸島にては「君は天然色」のB面だが、サビでのヴォーカルの広がり方が印象的でキャッチーで、こちらもバッキング・パターンは80年代に流行ったアクセントを付けたピアノ連打のフレーズ。
⑥雨のウェンズデイは泣きのコード進行といい、憂いのあるメロディーが大滝氏のヴォーカルにピッタリとハマる曲で、シングル発売も納得の1曲。
雨のウェンズデイからの流れでさらに泣きそうになる切ない⑦スピーチ・バルーンは秀逸。個人的には君は天然色と同じぐらい好きな曲だ。
歌メロも良くて楽器や演奏が優しい。
分厚いギター、カスタネットとリヴァーブ(エコー)たっぷりのパーカッション類とそれに絡むストリングスとヴォーカルが心地好い⑧恋するカレン、聴いていて楽しい遊び心のある⑨FUN×4、早すぎるディスコ・ソングとも言えるが、やはり大滝氏の歌声とゆったりと流れるメロディーに耳がいってしまう⑩さらばシベリア鉄道など聴きどころ充分。
これだけの音数をまとめ、エコーたっぷりの美しいサウンドに仕上げたエンジニアの吉田保さん、アートワークを手がけた永井博さんの仕事ぶりも素晴らしく、日本のポップ・ミュージックの金字塔、永遠のマスターピースとは本作のこと言い切ってしまいたい。
100点
データ
1981年:日本(Niagara Records – 27AH 1234)
プロデューサー:大滝詠一
1. 君は天然色
2. Velvet Motel
3. カナリア諸島にて
4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語(ストーリー)
5. 我が心のピンボール
6. 雨のウェンズデイ
7. スピーチ・バルーン
8. 恋するカレン
9. FUN×4
10. さらばシベリア鉄道
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
ナイフラOfficial HP
ナイフラOfficial YouTubeチャンネル「ナイフラチャンネル」
ナイフラOfficial X https://x.com/the_night_flyer
サガワトモユキOfficial Instagram https://www.instagram.com/the_night_flyer_60s/
毎回ナイフラの最新情報が届くメルマガ登録、ライブチケット予約、お問い合わせ、メンバーへの質問コーナー「ナイフラQ」もこちらへ↓
コメント