池田典代1stアルバムにして唯一の作品は1979年発表。
シングルとなった⑧恋のジャイロから「歌謡ディスコ」と評される事も多いアルバムだが、中身は曲毎にミュージシャンが入れ替わり、ヴォーカルと四つに組んだ充実の内容。
シティ・ポップのサウンドが好きなのは、AORに通じる洗練されたサウンド・プロダクションにある。
気の利いたギターに控えめだがツボを抑えたベース、とろけるようなエレピ、細かく刻むドラム、テクニック的に高度な部分も”さらり”と表現してしまう演奏力をあくまでもお洒落な響きが包み込む。
主役はあくまでもヴォーカル。
だからバックの演奏がヴォーカルを差し置いて前に出ることはない。出る時はタイミングを見計らい「ここぞ」という時である。
メリハリが効いているから1曲を通して退屈になる事もなく、聴き手に飽きさせない工夫が凝らされている。
楽器陣のエゴが出ると途端にロックな方向に傾いてしまうが、そこは歌モノのアルバム、いかにキャッチーで聴きやすいサウンドにするかがポップスの醍醐味である。
Contents
トップ・リコメンド
多くの人が本作を手に取るきっかけとなるであろう・・・というよりファンはどうしても抑えておきたい山下達郎が作曲・編曲を担当、ギターとバックグラウンド・ヴォーカルも務めた②Dream in the street。
序盤こそディスコビートのドラムに乗って田中章弘氏のスラップ(チョッパー)奏法のベースが踊る。
これはまさに達郎氏の代表曲である「BOMBER」そのもので、今となってはなかなか聴けない若い頃の達郎サウンドだと感じる方も多いのではないだろうか。
ラテン・ビートに乗った①アディオスを初めて聴いた時は、そのビジュアルに似つかわしくない(可憐なヴォーカルをイメージしていた)力強いヴォーカルに思わず前のめりになってしまった。
声も歌いっぷりも実にカッコイイのだ。
大橋純子&美乃家セントラルステーションのアルバム『沙浪夢』あたりがお好きな方には、ぜひオススメしたい。
女性ヴォーカル物では珍しいヴォコーダーを使用したファンク・ロック④冷たい雨は、この時代ならではの特徴でフュージョンでもよく聴くサウンドである。
EW&Fの「Magic Mind」をオマージュした豪快なファンク・チューン⑤Love is like a partyに腰が浮く。
クレジットを見て納得。
スペクトラムのホーン隊が参加しているのだ。
個人的に本家よりもタイトだと思う、日本最高峰のホーン・セクション。
参加ミュージシャン
その他、制作陣とミュージシャンは非常に豪華で、ザッと名前を挙げると小林泉美、大野克夫、佐藤博、久米大作、生田敬太朗、船山基紀などの作家をはじめ鈴木茂、山岸潤史、森園勝敏、野呂一生、土屋昌巳(G)、小原礼、岡沢茂(B)ジョニー吉長(Dr)、松岡直也(Pf)、ホーン・スペクトラム(Horn)
これだけのミュージシャンが参加したことから、当時相当力を入れて制作されたことが窺える。
ぜひ2作目も聴いてみたかった思わせる1枚。
77点
データ
1979年:日本(Orange House Records – ORF-5010)
プロデューサー:野田幸一
1.アディオス
2.Dream in the street
3.サマーオレンジの恋
4.冷たい雨
5.Love is like a party
6.My prayer
7.愛のかけら
8.恋のジャイロ
9.Sunday morning
10.たたずんだ街角
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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