映画もサントラもビッグ・ヒット記録して「トップ・ガン」並に有名な「フットルース」とは無関係である。
AORでフットルースと言えば、このバンドを指すのだ。
Contents
ストーリー
80年代後半になってソロ・シンガーとして、同郷のよしみという事もあり、デヴィッド・フォスターが見出したシンガーがティム・フィーアンである。
そのティム・フィーアンがソロ・デビューよりも前に率いていたバンドが、このフットルースだ。
楽曲全体を通してカナダのローカル色が強く、まだまだ1アーティストとして統制が取れていない印象。
これを「荒削りだが勢いがあって・・・」などと表現しては、その辺のバンドと変わらない。
後にデヴィッド・フォスターとの関わりが深くなると言っても、この頃はデビューしたてのド新人。
そんなバンドにボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルのような”正統派”AORを期待しては酷というものだ。
サウンドについて
①Leaving For Mauiは深みのあるエレピにストリングスが絡み、本場のハワイアン・グループ、マッキー・フェアリー・バンドも真っ青の甘いメロウ・トラック。
続く②Just Enough Loveは細かいキメからキレの良いカッティングにやはりストリングが絡むというメロウ・ソウル。
続く③Dancin’ Feelin’も同じような路線で、ここまでは好感触。
だが④It’ll Take Some Timeは突如としてトロピカルな雰囲気にボコーダー(ロボ声)が登場するという、それまでとは違う、明らかにスパイスの利いた楽曲だ。
冒険はこの辺りまでならばスパイスとして生きてくるのだが、さらに⑤Put On The Dogになると完全に明後日の方向へ。
その後は何とか持ち直すものの、冒頭にあったフィーリングはない。
美しいバラードも書けたりと色々なタイプの曲が書けるのは強みだが、やはり芯がしっかり出来ていないと同じアルバムでも散らかったイメージになってしまうのが残念だ。
そういう意味ではバンドというよりも、楽曲によって好みがハッキリ分かれるだろう。
72点
データ
1980年:カナダ(Mustard – M-1003)
プロデューサー:ゲーリー・マクドナル
1. Leaving For Maui
2. Just Enough Love
3. Dancin’ Feelin’
4. It’ll Take Some Time
5. Put On The Dog
6. Time Is Right
7. Jamie
8. Line-Ups
9. Thanks I Needed That
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