不思議なものでアメリカにはアメリカの、イギリスにはイギリス特有の音というのが存在する。
気候とイメージが合致し易いのだが、アメリカ(西海岸)の場合はカラッと乾いていながらもクリアで明瞭な部分のサウンドを併せ持ち、解放感があって明るいメロディーが多い。
対してイギリスは少し霧がかった様なサウンドであったり、一聴すると明るいメロディーや楽曲に聴こえても、どこか哀愁を帯びているというか影のある物哀しさを感じるのだ。
差し詰めアメリカが陽ならばイギリスは陰、そんなイメージだ。
Contents
ストーリー
前身バンドであるトニー・リヴァース&キャスタウェイズを経て68年に「ハーモニーグラス」に名を変えてデビュー。
過去の記事でも何度も書いている様にビーチ・ボーイズが発表した1967年に発表した『Pet Sounds』・・・もっと言えば、ほぼソロ作品と評されるぐらい中心になって制作したブライアン・ウィルソンが同時代から現在まで多数のミュージシャンに与えた影響は大きい。
もはやソフト・ロックという枠組みを超えた歴史的大名盤の作品であるのは言うまでもない。
これほどまでの影響力を持つバンドは他にビートルズかローリング・ストーンズぐらいであろう。
ハーモニー・グラスが残した唯一の本作『THIS IS US』はPet Sounds、ビーチ・ボーイズに対するイギリスからの回答と言われる作品だ。
トップ・リコメンド
思わず一緒に歌いたくなる様な①Move In A Little Closer Babyはママス&パパスのキャス・エリオットもカバーして全米ヒットも記録。
ヒット曲としては、この1曲のみだがビーチ・ボーイズ色が色濃い②My Little Girl、⑨Summer Dreamingの他、スパンキー&アワ・ギャングの⑤(It Aint Necessarily)Byrd Avenueやハ-パース・ビザ-ル⑥Chattannoga Choo Chooなどカバー曲も収録。
⑧Mrs Richieはタイトル名通り、サイモン&ガーファンクルを意識している様な楽曲だろうか。
ソフト・ボッサの⑩I Think Of You、フォー・フレッシュメンも歌う⑫Tom Dooleyなどヴァラエティ豊かなアルバムになっている。
中心人物のトニー・リヴァースが作り出すコーラス・ワークも素晴らしくヴォーカル・アレンジの達人の異名に相応しい内容だ。
数少ない英国産ソフト・ロックの名盤。
86点
データ
オリジナル:1969年
1998年(EM/1001)
1.Move in a Little Closer Baby
2.My Little Girl
3.What a Groovy Day
4.I’ve Seen to Dream
5.(It Ain’t Necessarily) Byrd Avenue
6.Chattanooga Choo Choo
7.Good Thing
8.Mrs Richie
9.Summer Dreaming
10.I Think of You
11.Ballad of Michael
12.Tom Dooley
13.What Do You Do When Love Dies
14.Let My Tears Flow
15.You and I [1970 Demo]
16.Summer Dreaming [1969 Demo]
17.Walk on By [1969 Radio Session]
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