70年代から活躍するヒロリンこと岩崎宏美さんの14作目となるアルバムで2度目のロサンゼルス・レコーディングとなる作品。
前回のロサンゼルス録音『wish』もかなり気に入っているが、よりAOR純度が高いこちらを取り上げたい。
当時は予算の関係もあるだろうが、多くの日本人ミュージシャン、アイドルがロサンゼルスをはじめとした海外録音が一種のトレンドとなっており、中には箔を付けるための日本サイド製作陣の思惑が透けて見えるものや、あちらのミュージシャンも普段こなしている仕事の片手間に引き受けた感が拭えないように感じられる作品も少なくはない。
本作に関しては竹内まりやさん『Miss M』や尾崎亜美さん『HOT BABY』同様、日米スタッフの熱気が感じられ、それが内容にも十分反映されている作品だと思う。
Contents
聴きどころ
まず何と言ってもAORファン向けに参加ミュージシャンと、その仕事ぶりを見てみたい。
カルロス・ヴェガ(Dr)、ニール・ステューベンハウス(B)、マイケル・ランドゥ、スティーヴ・ルカサー(G)、デヴィッド・フォスター(K)、ラルフ・ジョンソン(Per)、ファイナス・ヘンダーソン(BGV)といった面々。
ルカサー、ランドゥの同級生コンビが揃って参加しているのも珍しく、AORファンならばこれだけでクレジット買いしてしまいそうだが、そこにデヴィッド・フォスターが加わり、さらにパーカッションだけでなくBGVでも参加、アース・ウィンド&ファイアー(EW&F)のラルフ・ジョンソン、同じくEW&Fのアル・マッケイが4曲の制作に絡んでおり、BGVで名が見られるファイナス・ヘンダーソンもアル・マッケイがアルバム・プロデュースした関係で彼の繋がりによるものだろう。
ビル・チャンプリンに関していえば、⑨Every Now And Then、⑩I Won’t Break Your Heartの2曲を作曲し、⑥Both Of Usではデュエットを披露。
①Sticky Situationはイントロからルカサーの独断場。一聴して当時の彼のサウンドと分かるフレーズとサウンドはインパクト大◎
唸るようなフレーズと粘り気がありながらもロサンゼルスらしい空間が効いた歪みのトーンは日本のギター・キッズもさぞかし彼の真似をしたことだろう。
岩崎宏美さんの歌唱力たるや申し分なく、海外の一流ミュージシャン相手に堂々とした歌いっぷり。
これでこの時まだ20代なのだから、低年齢化している近年のJ-Pop事情とは全く異なる世界のようにすら感じてしまう。
⑨Every New And Thenのように力強い声は”カッコイイ女性”を感じるし、今まで思っていた岩崎宏美というシンガーのイメージを覆すほど強く印象に残った。
個人的にはトップ・リコメンドであるBoth Of Usと同様に強くオススメしたい。
全体的に80年代特有の音の硬さやリヴァーブ(エコー)の広がりに特徴があり、デジタル・サウンドも取り入れつつあるが嫌味なほどではないので、さほど気にならない。
お洒落さだけが過剰に前面に出ることはなく、程よくハードさが混ざり合っているので(そこはやはりルーク&ランドゥのおかげ)シティ・ポップというよりJ-AORという言葉の方がしっくりくる。
85点
データ
1984年:日本(Victor – SJX-30226)
プロデューサー:飯田久彦
1. Sticky Situation
2. Come Softly
3. Passion Is
4. Secret Eyes
5. I Do
6. Both Of Us
7. Could You Be The One
8. Here We Are
9. Every Now And Then
10. I Won’t Break Your Heart
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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