いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー / アワー・コネクション

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女優として数々のドラマや映画にも出演し、同時に歌手としても「ブルー・ライト・ヨコハマ」や「あなたならどうする」でヒットを飛ばした、いしだあゆみ77年作。

バックには当時新進気鋭の若手ミュージシャン集団であるティン・パン・アレーを従え「いしだあゆみ & ティン・パン・アレイ・ファミリー」としてリリース。

シティ・ポップ史上屈指の名盤。

とにかくこのアルバム、主役であるいしだあゆみの歌いっぷり、個性も際立つのだが、それ以上に後ろの楽器陣がやりたい放題で(かと言って決して破綻せず、全体がまとまっている)、がっぷり四つに組んでいる状態。

楽曲やメロディが歌謡曲になろうとも、洗練された音色とアレンジで明らかに当時の音楽シーンの中で異彩を放っていたことは容易に想像できる。

同じくティン・パン・アレーをバックに起用した雪村いづみの『スーパー・ジェネレーション』同様、この時代にして、このサウンドは「早過ぎる」のである。

そこには細野晴臣を中心としたアレンジから果敢に攻める姿勢で楽曲を仕上げていくスタイルが功を奏したとも言えるが、これが許される環境もすごい。

既にヒット曲を持った歌手とは言え、普通は「先生」と呼ばれるような作詞家、作曲家、編曲家がバックを仕切り、雇われたミュージシャンはあくまでも”演奏のみ”というのが通例である。

しかし、このティン・パン・アレーがアレンジ面にも深く関わってくる作品には他にはない魅力がある。

ミュージシャンが出すアイディアというのは、時として先生方には思いつかないような突拍子もないものであることもあり、そこが楽曲としての面白さを生み出しているのだ。

本作にはプロデューサーであり作詞家の橋本淳、作曲に荻田光雄という所謂”大物”とティン・パン・アレー、松任谷正隆を除く細野晴臣(B,AG)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)が核となり、矢野顕子、岡田徹、佐藤博、羽田健太郎(K)、吉田美奈子、山下達郎(BGV)、浜口茂外也(Per)、吉川忠英(AG)、ジェイク・H・コンセプション(Horn)という非常に豪華なメンバーが名を連ねた。

Contents

トップ・リコメンド

①私自身を挙げたい。細野晴臣の作であり、ベーシストとしての真骨頂であるファンキーなリズム・パターンを多用し音価の短いカッティングが実にカッコイイこの曲は、冒頭からいしだ自身の語りから入るというトリッキーな仕様。

歌から入ってくると誰もが予想していると思うと肩透かしをくらうが、この作りが洒落ているではないか。

 

②ひとり旅やニック・デカロ風味という声が多い③六本木ララバイあたりはメロディや曲は昭和歌謡路線なのだが、やっぱりバックのアレンジで洗練された印象になる。

一方でほのぼの路線の④ダンシング、⑪ムーン・ライト、可愛らしいヴォーカルが特徴の⑦真夜中のアマン、スパニッシュ風の⑧哀愁の部屋、最後はレゲエで締める⑫バイ・バイ・ジェットと、曲調がヴァラエティに富んでいるのは後々チャンプルー・ミュージックを提示する細野晴臣の仕業であろう。

お得意の「ごちゃ混ぜ感」が、やはり当時のクロスオーヴァーという言葉にしっかりとハマる。

いしだあゆみのアンニュイなヴォーカルとバックの演奏がミックスされて肩肘張らずに聴ける作品。

 

91点

データ

1977年:日本(Columbia – PX-7023)

プロデューサー:橋本淳

1. 私自身
2. ひとり旅
3. 六本木ララバイ
4. ダンシング
5. バレンタイン・デー
6. 黄昏どき
7. 真夜中のアマン
8. 哀愁の部屋
9. ウィンター・コンサート
10. そしてベルが鳴る
11. ムーン・ライト
12. バイ・バイ・ジェット

 

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