日本にも馴染みがあるシンガーの一人であったジョン・オバニオン。
彼のデビュー作であり、当時流行った”最先端の音”を堪能出来る作品は1981年発表。
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トップ・リコメンド
TOTOのHold The Lineのように3連のピアノ連打リフを前面に打ち出し、スティーヴ・ルカサーを彷彿させる粘るギターソロが印象的な①Love You Like I Never Loved Beforeは全米チャート24位を獲得。
ハイ・トーンで攻めるジョン・オバニオンの魅力も相まって、それらのサウンド・プロダクションはAORのスタイルでは典型的なロマンティック・ハードネスとも言える。
しかし、次の②You’re In My Life Againで上がったテンションを落ち着けてくれるバラードなど、この辺りの流れは巧みに計算されているように思える。
サウンドについて
そしてまた一転。
③Love Is Blindでは再びロマンティック・ハードネス路線。
ブライトなピアノの音色にエッジの効いたハードなギターが絡むスタイルはエア・プレイそのものだ。
本作が発表された年を考えても前年に発表されたAORのバイブルともいうべき歴史的大名盤からかなり影響がされているのではないだろうか。
また、この辺りのサウンドはプロデューサーの一角を担ったリッチー・ズィトーの力が大きいはず。
ヴィジュアルだけ見たら線の細い、いかにも優男が歌うアコースティックなAORを想像してしまいがちだが、バックのサウンドに負けず、力強く歌い上げるパワーも持ち合わせている。
そしてこの路線ならばアドリブでシャウトする声に聴き覚えが・・・・と思ったら案の定、TOTOの初代ヴォーカリスト、ボビー・キンボールが参加。
ソロ作品ではあるが、周辺ミュージシャンの豪華プロダクションに支えられて一人AIR PLAY&TOTO状態。
当時日本でヒットしたというのも頷ける。
82年には東京音楽祭に出場し、見事グランプリを獲得。
翌83年には映画『里見八犬伝』の主題歌を歌うなど、アメリカのみならず、日本での人気も高かったジョン・オバニオン。
残念ながら2007年に60歳になる前に亡くなってしまい、新作が出ることはないが今も存命中だったら、どんな歌声を聴かせてくれたのだろうかとつい想像してしまう。
参加メンバー
プロデューサーのジョーイ・カルボーン(BGV,K,Per)、リッチー・ズィトー(G)を筆頭にデニス・ベルフィールド(B)、カルロス・ベガ(Dr)、レニー・カストロ(Per)、ボビー・キンボール(BGV)、ジェイムス・ニュートン・ハワード(St-Arr)等が参加。
今更語る必要のない、西海岸きっての実力者たちで固められた陣容である。
86点
データ
1981年:アメリカ(Elektra – 6E-342)
プロデューサー:ジョーイ・カルボーン、リッチー・ズィトー
1. Love You Like I Never Loved Before
2. You’re In My Life Again
3. Love Is Blind
4. Our Love Can Make It
5. Love Is In Your Eyes
6. Come To My Love
7. Take A Chance On Love
8. Walk Away Renee
9. If You Love Me
10. She’s Not For You
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