MAHAVISHNU ORCHESTRA / BIRDS OF FIRE

フュージョン界きっての奇才ギタリストであるジョン・マクラフリン。

奇想天外という言葉がピッタリな聴いているこちらの予想がつかない展開。

まるで絵画を見ている様な芸術的作品である。

Contents

ストーリー
聴きどころ
データ

ストーリー

ジョン・マクラフリンといえばセッション・ギタリストとして有名でローリング・ストーンズやモッズ達のカリスマ・バンド、グレアム・ボンド・オルガニゼーションやウェイン・ショータ、ミロスラフ・ヴィトウス、ジョー・ファレルなどのジャズ・プレイヤーをはじめ最も有名なのが”帝王”の異名をとるマイルス・デイヴィスの元でプレイ。

ストイックなまで自己の世界を積み上げる、このジャズ界の巨匠からも常に高い評価を得て長きに渡り作品に参加していた。

７１年になり自身のバンドであるザ・マハヴィシュヌ・オーケストラを結成。

メンバーはジェリー・グッドマン(Vl)、ヤン・ハマー(K)、リック・レアード(B)、ビリー・コブハム(Dr)。

聴きどころ

この中にどうしてもフィーチャーしたいプレイヤーがいる。

ジェフ・ベックとの共演でも名を馳せたチェコ・スロバキア出身のキーボーディスト、ヤン・ハマーで、共演したギタリストは有名どころばかり。

ジョン・マクラフリンとジェフ・ベックの他にはアル・ディメオラ、カルロス・サンタナ、スタンリー・クラーク、といったフュージョン勢からトミー・ボーリン、ニール・ショーン、スティーヴ・ルカサーなどロック系ギタリストなど大物ばかり。

クロスオーバー・ミュージックの中でファースト・チョイスとなるキーボーディストで、本作での仕事ぶりが人気のきっかけとなった。

元々ジャズ・ピアノを学んでいたとの事で、特にこのジャンルにおいては打ってつけのプレイヤーだったというのも納得。

アルバム・タイトル曲ともなった①Birds Of Fireで幕を開けるのだが、冒頭から変拍子に奇妙なコード進行、さらにはギターとエフェクティブなヴァイオリンがユニゾンするなど独特の政界感を醸し出しているので一癖も二癖もある作品だという事に気づく。

ギターソロからシンセソロに移行するなど当時の楽器をフィーチャーした流れや音色は今の時代からすると却って新鮮に聴こえるのではないだろうか。

マイルス・デイヴィスの名から取ったのか、続く②Miles Beyondではドラマーとしては非常に手数(叩くフレーズ)が多い事で知られるビリー・コブハムによる怒涛のソロをフィーチャー。

雷鳴の如く鳴り響くドラムは一聴の価値があり、聴く者にとってスリリングな興奮を与えてくれる。

面白い様に多彩なサウンドでプレイするヴァイオリンのジェリー・グッドマン含めてソロや自己主張のぶつかり合いの中、それに負けじとドラムという打楽器で対抗するビリー・コブハムは本作でヤン・ハマーと共に注目して聴いていただきたいプレイヤーである。

変拍子と練られた音色から織り成すサウンドは、やはりワンアンドオンリーのものでこのメンバーでないと再現は出来ないであろう。

クロスオーバー／フュージョンの枠組みでさえ軽く超えて来るとい意味では通常の規格ではとても収まりきれない様相を呈している。

この後はより深くインド音楽に傾倒していくので、ロック界にインド音楽を持ち込み大胆にアピールしたのがビートルズのジョージ・ハリスンならば、フュージョン界ではこのジョン・マクラフリンも同様だと言える。

１曲のみを切り取って聴いてもその凄さは分かるが、こういったアルバムもまたアルバムトータルで聴いて面白味が伝わるというものだろう。

９０点

データ

１９７３年：アメリカ(Columbia ‎– KC 31996)

プロデューサー：ザ・マハヴィシュヌ・オーケストラ

1. Birds Of Fire
2. Miles Beyond
3. Celestial Terrestrial Commuters
4. Sapphire Bullets Of Pure Love
5. Thousand Island Park
6. Hope
7. One Word
8. Sanctuary
9. Open Country Joy
10. Resolution

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