基本的に90年代以降に登場し、70~80年代に流行ったAORを彷彿させるサウンドを持ち味としているアーティストをNeo AOR世代と定義しているが、本日はその中でも思いっきりマニアックな1枚でもあり、超オススメ作をご紹介。
Contents
サウンドについて
ピーター・Dこと、モーリス・ピーター・デラーノ・スミスはジャマイカ出身のアーティストである。
ジャマイカといえば、どうしもレゲエが直結してしまうのだが、本作は正統派AORファンはもちろん、クワイエット・ストーム系ファン、クラブDJまで幅広く好まれそうな「癒し系サウンド」が最大の売りである。
基本的にバンドではなくピーター・Dのソロ・プロジェクト的位置付けであるが故にヴォーカルも、そのピーター・Dを含み曲ごとに男女変わってゆく。
まずは冒頭のタイトル曲①Finallyを聴いて頂きたい。
乾いたアコースティック・ギターの音と、メロディに絡むストリングス、リラックスしたヴォーカルはとても心地良い。
トップ・リコメンド
続いてトップ・リコメンドである②Crazy For You。
初期ボビー・コールドウェルを感じさせるイントロに、みんなで歌いたくなるほどキャッチーなサビ。
正直言って、この2曲の為に購入しても後悔しないと断言出来る。
現にサガワはこの2曲で「このアルバムはアタリだ」という確信が持てた。
ジャマイカを始めとした中南米音楽の特徴として非常に豊かな低音、そしてリズムの重視というのが挙げられるが、本作も然り。
多弦ベースを多用し、キックも普通のポップスより圧倒的に前に出ている。
ダンス・ミュージックが盛んな地域ならではの特徴であり、モダンなサウンド的要素を感じる点でもある。
⑦Can’t You Seeなどの泣けるバラード作りも非常に巧く、ただ者ではない事を実感。
一般的知名度どころか相当なAORマニアでないと知らないような存在ではあるが、並んでいる楽曲は総じてハイクォリティ、メロウな曲調にR&Bテイストを効かせたサウンドは一聴の価値あり。
次回作に期待が膨らんでしまう。
88点
データ
2007年:アメリカ(T En T Music)
プロデューサー:モーリス・スミス
1. Finally
2. Crazy for You
3. Worthwhile
4. Give You Love
5. I Found Out
6. Amour
7. Can’t You See
8. Hold Me Now
9. Everlasting
10. Lost It
11. Can’t You See (String Re-Mix)
コメント