山下達郎 / FOR YOU

夏に聴きたいAORシリーズも夏と共に勝手に完結。
ラストを占めるに相応しいのは、このアルバムしかないだろう。
「夏だ、海だ、タツローだ」のキャッチ・コピーも今は昔、このアルバムのヒットによって新たなスタイルを確立。

聴きどころ

名曲①Sparkleは問答無用のファンキー・リゾート・ミュージック。あまりのカッコ良さに、歌と同じぐらい耳がいってしまう乾いたギター・カッティングで心を鷲掴み状態。
元ネタがナイトフライトだろうが何だろうが、カッコ良すぎる名曲である。
③は奥様である竹内まりやさんも歌ったMorning Glory。
バックグランド・ヴォーカルもクワイアーのように幾十も重ねられた美しいウォール・オブ・サウンドで虜になってしまう④FUTARI、ジャパニーズ・リゾート・ミュージックの決定版⑤Loveland,Islandを始め、日本人離れした実力を感じずにはいられない⑧YOUR EYESなど、捨て曲なんて言葉一切思いつかない、そしてトータル的なハイ・クオリティー・サウンド。

アメリカン・ポップスと古き良き時代のソウルなどを日本人的解釈で消化し、さらに自身のオリジナリティ溢れるアイディアで、さらにワンランク上のアルバムに仕上げるなど、並のミュージシャン、アーティストには到底真似出来ない構築力。
いつ聴いても決して色褪せる事はない永遠のマスターピースは、これから先もずっと愛聴され続けていく作品だろう。

中身の内容とセールス、評価、どれをとっても、これだけ完成されたアルバムは珍しいとさえ思う。
一度聴いたらズブズブと、その魅力にハマってしまう事間違いなし、まさに”あまく危険な香り”がするアルバムだ。

９８点

データ

１９８２年：日本(AIR ⁄ RVC RAL-8801)

プロデューサー：山下達郎

1. SPARKLE（スパークル）
2. MUSIC BOOK（ミュージック・ブック）
3. INTERLUDE A Part I（インタルード A パート I）
4. MORNING GLORY（モーニング・グローリー）
5. INTERLUDE A Part II（インタルード A パート II）
6. FUTARI（ふたり）
7. LOVELAND, ISLAND（ラブランド・アイランド）
8. INTERLUDE B Part I（インタルード B パート I）
9. LOVE TALKIN’ (Honey It’s You)（ラブ・トーキン）
10. HEY REPORTER!（ヘイ・リポーター!）
11. INTERLUDE B Part II（インタルード B パート II）
12. YOUR EYES（ユア・アイズ）