日本のポップス界で最重要ギタリストの一人である鈴木茂。
様々な意見があるが「”都会的で洗練されたサウンド”を日本流に解釈したのがシティ・ポップス」ならば、その先駆けとして真っ先に名前が挙がるのが、はっぴいえんど。
はっぴいえんどというバンドは、それぞれが作家であり、プレイヤーであり、プロデューサーだった4人。
その後はソロ作品だけでなく、文字通り数々のレコーディングに参加してきたギタリストが鈴木茂さんであり、2000年代をとうに過ぎた現在も多くのギタリストに影響を与えている。
本作は、スタジオアルバムがわずか3枚、活動期間も3年程度と短命だったはっぴいえんど解散後、単身でアメリカ西海岸に渡り制作された1stアルバムである。
作詞は松本隆、作曲・編曲は鈴木茂という、ファンには堪らない組み合わせ。
Contents
参加メンバー
バックのメンバーもかなり豪華で、当初予定していたメンバーとは異なるようだが、ローウェル・ジョージを除いたビル・ペイン、サム・クレイトン、ケン・グラッドニー、リッチー・ヘイワードといったリトル・フィートのプレイヤーを中心にダグ・ローチ(B)、ドン・グルーシン(Clv)、デヴィッド・ガリバルディ(Dr)等が参加。
聴きどころ
鈴木茂というギタリストは個人的観点から元々プレイスタイルの幅が異常に広く、はっぴんえんど、大瀧詠一、荒井由実等のアルバムを聴けば分かりやすいが、どんな曲調でも弾きこなせてしまうのではないかと思わせるぐらいの守備範囲の広さが最大の特徴だと思う。
これしか出来ないが、その代わり得意な事をプレイさせたら右に出る者はいないという一芸に秀でた不器用なタイプのミュージシャンも結構いるが、茂さんの場合は真逆。
ジャンルを分けるのが無意味に思えてくるぐらい、曲にフィットしたギターをいつも奏でているイメージ。
それも、どこかで聴いたことある王道フレーズをひたすら並べ立てるのではなく、オリジナリティ溢れるプレイも多く、この辺りは感性の問題なのか、他に同じようなプレイヤーを探しても見つけにくい。
得てして一流のミュージシャンはそういう人が多いが・・・。
ロック、ソウル、ジャズ/フュージョンなどをブレンドし、クロスオーヴァーなサウンドでアルバムを制作した第一人者であるとも言える。
日本人でも洋楽のようなサウンドを奏でる作品にはチャーの1stアルバムの時に驚かされたが、それよりも3年早く茂さんがこんな作っていた。
またギタリストとしてのエゴだけが前面に出てしまう、単なるプレイヤー指向のソロ・アルバムではなく④スノー・エキスプレス⑦ウッド・ペッカー以外はヴォーカル作品で固められている。
あまりに凄いトーン、ファンキー且つ粘るサウンドを披露されてしまうと、ついついそちらへ耳がいってしまいがちだが、しっかり”歌モノのアルバム”になっており、優れたポップス・アルバムとして今日まで愛聴されている理由も頷ける。
鈴木茂=①砂の女とも言えるほどの代表曲だが、それ以外もノリが良くカッコイイ曲がズラリと並んでいるので、未聴の方はぜひチェックを!
若干20代前半でこんな作品を制作していたかと思うと、驚くべき早熟ぶりである。
88点
データ
1975年:日本(Panam – GW-4011)
プロデューサー:鈴木茂
1.砂の女
2.八月の匂い
3.微熱少年
4.スノー・エキスプレス
5.人力飛行機の夜
6.100ワットの恋人
7.ウッド・ペッカー
8.夕焼け波止場
9.銀河ラプソディー
モッズ野郎サガワトモユキが参加するポップスバンド、ザ・ナイト・フライヤー(通称:ナイフラ)関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!
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