Al Di Meola / Elegant Gypsy

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フュージョン・ギタリストの中には、テクニックを前面に押し出すことで存在感を示すタイプが少なくない。しかし、その高度な演奏技術を単なる”速弾き”で終わらせず、楽曲としての完成度にまで昇華させたプレイヤーとなると意外に多くはない。本日ご紹介するアル・ディ・メオラは、まさにそんなギタリストの代表格である。

10代で頭角を現し、Return to Foreverへ加入。チック・コリアの下で一躍その名を世界に知らしめたが、本作『Elegant Gypsy』は、ソロ・アーティストとしての地位を決定付けた記念碑的作品と言っていい。

一般的には超絶技巧派ギタリストというイメージが先行するアル・ディ・メオラだが、本作を聴けばそれだけでは片付けられないことがよく分かる。確かに驚異的なピッキング・スピードや正確無比なフレージングは随所で披露されるものの、それ以上に印象に残るのはメロディ・センスとアレンジ能力の高さである。

アルバム全体を通して感じるのは、ラテン音楽を軸にした独特のリズム感だ。

フュージョンというジャンルでありながら、単なるジャズ・ロックには終始せず、フラメンコやラテン、地中海音楽の香りが自然と溶け込んでいる。そのため技巧的な演奏が続いても決して冷たい印象にはならず、どこか情熱的で色彩豊かな世界観が広がっているのである。

聴きどころ

プロダクションも実に見事だ。

ギターはもちろん主役なのだが、バックを支えるミュージシャン達も一流揃い。ベース、ドラム、キーボード、パーカッション、それぞれが高い演奏力を持ちながらも決して自己主張に走ることなく、楽曲を成立させることを最優先にプレイしている。

ここで重要なのは、ギターとバックの演奏陣の関係性である。

ギター・アルバムというとリーダーだけが目立つ作品も少なくないが、本作では演奏陣全員が対等な立場で音楽を作り上げている印象が強い。リズム隊が生み出すグルーヴ、その上で自由に舞うアル・ディ・メオラのギター。この絶妙なバランスがあるからこそ、テクニック一辺倒ではない音楽として成立しているのである。

聴きどころは②Race With Devil On Spanish Highway。

おそらくアル・ディ・メオラの代表曲として最初に名前が挙がる1曲だろう。

冒頭から繰り広げられる怒涛のギター・プレイは圧巻の一言。あまりにも速く、あまりにも正確。しかし凄いのは速弾きそのものではない。そのフレーズ全てに意味があり、楽曲として成立している点なのである。

超絶技巧を見せつけるだけなら他にもギタリストは存在する。しかし、この曲ほど「演奏技術」と「楽曲」が高い次元で融合した作品はそう多くない。

一方、アルバムを象徴するもう1曲がタイトル曲Elegant Gypsy Suite。

こちらではスペイン音楽の影響を色濃く感じさせる美しい旋律が展開され、情熱的なアコースティック・ギターと繊細なアンサンブルが実に見事である。アル・ディ・メオラが単なる速弾きギタリストではなく、優れたコンポーザーでもあることを証明している楽曲と言えるだろう。

アルバム全体としては、フュージョン作品でありながら決して難解ではない。

もちろん演奏そのものは非常に高度である。しかしメロディが親しみやすく、リズムにも躍動感があるため、ジャズ初心者でも比較的入りやすい作品ではないだろうか。

逆に、落ち着いたAORやスムース・ジャズのような穏やかなサウンドを期待すると、そのエネルギッシュな演奏に少々圧倒されるかもしれない。

しかし、それを差し引いても本作は70年代フュージョンを代表する名盤であることは間違いない。

フュージョンというジャンルが最も勢いに満ちていた時代、その頂点を知る上でも避けては通れない1枚。そしてアル・ディ・メオラという孤高のギタリストの魅力が最も凝縮された作品として、今なお色褪せることなく聴き継がれている傑作である。

 

89点

 

データ

1977年:ヨーロッパ(CBS – CBS 81845)

プロデューサー:アル・ディ・メオラ

1. Flight Over Rio
2. Midnight Tango
3. Mediterranean Sundance
4. Race With Devil On Spanish Highway
5. Lady Of Rome, Sister Of Brazil
6. Elegant Gypsy Suite

 

作編曲家、ベーシストのサガワトモユキのソロ・プロジェクトVOL DE NUIT関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!

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