MICHEL POLNAREFF / MICHEL POLNAREFF

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Sagaworld Remaster CD Review
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フランスが誇る国民的ポップ・シンガー、70年代の日本ではカーペンターズと勝るとも劣らない人気があったと言われるミシェル・ポルナレフの1974年作。

66年のデビュー以来、「シェリーに口づけ」「愛の休日」など数々のヒット曲を放ち、フレンチ・ポップスを代表するシンガーとして世界的な人気を獲得。その一方で、常に既成概念にとらわれないサウンド作りを追求し、作品ごとに新しい挑戦を続けてきた。

本作『Michel Polnareff』は、日本では『ポルナレフ革命』という邦題でも親しまれている1枚。

ポップスとしての親しみやすさと実験精神が絶妙なバランスで共存した作品である。

カーリーヘアに異常にデカいサングラス、ギンギラの衣装に斜め上の発言やパフォーマンスがトレードマークとなってアコースティック・ギターを抱えた60年代のサラサラヘア美少年ぷりは何処へやら、本国のみならず日本でもスーパースターとなったタイトルに自身の名前を配したアルバムだが、他のアルバムに埋もれてしまうケースが多く、人気の絶頂期を迎えていた日本以外ではあまり評価されていない印象。

聴きどころ

70年代に入ると、それまでの華々しい成功の裏で金銭トラブルなど様々な問題を抱えるようになり、音楽制作にも少なからず影響を及ぼすことになる。そんな過渡期に発表されたのが、1974年のセルフタイトル・アルバム『Michel Polnareff』である。ファンの間では賛否が分かれる作品として語られることも少なくない。

しかし、だからと言って本作の価値が低い訳ではない。

むしろ、それまでの華やかなポップス路線とは異なる、新たなポルナレフ像を提示した意欲作として聴くと実に興味深い1枚なのである。

まず印象的なのは、アルバム全体に漂うどこか幻想的な空気感だ。

全体のサウンドはよりシンプルになり、メロディそのものをじっくり聴かせる構成が目立つ。アレンジはセルジュ・ゲンズブールとの仕事でお馴染みのジャン・クロード・ヴァニエが担当。ストリングスやブラスを大胆に使いながらも決して派手になり過ぎず、どこか映画音楽を思わせるスケール感を生み出している。

どの曲も一度耳にすると自然と頭に残るキャッチーさを持ちながら、コード進行にはポルナレフらしい意外性が散りばめられている。シンプルに聴こえる楽曲ほど細かな転調やアレンジが施されており、何度も聴き返したくなる奥深さがある。

冒頭を飾る①La Fille Qui Rêve De Moiは、軽快なリズムに乗せた爽やかなポップ・ナンバー。美しいコーラスと流れるようなメロディが心地良く、アルバムの幕開けとして申し分ない完成度を誇る。続く②Le Prince En Otageでは一転してドラマティックな展開を見せ、本作の中でも特に人気の高い1曲となっている。ファンの間でも本作を代表する楽曲として評価が高いのも頷ける出来である。

個人的に印象深いのは④La Vie, La Vie M’a Quitté。

ポルナレフらしい切ないメロディに、ヴァニエによる繊細なオーケストレーションが重なり、本作の持つ叙情性が最もよく表れている楽曲ではないだろうか。

そしてアルバム後半では、サーカスを思わせる幻想的な⑥Le Grand Chapiteau、ユーモラスな⑦Il Est Gros、壮大なインストゥルメンタル⑨Polnarêveと、楽曲ごとに異なる表情を見せてくれる。

特にPolnarêveは、タイトルが示す通り”夢”をテーマにしたような幻想的なインストゥルメンタルで、ポルナレフのクラシック的素養とヴァニエの壮麗なアレンジが見事に融合した、本作のハイライトと言ってもいいだろう。

ラストを飾る⑪L’homme Qui Pleurait Des Larmes De Verreは、本作を締め括るに相応しい美しいバラード。

派手な盛り上がりを見せる訳ではないが、どこか儚く、余韻を残すメロディはポルナレフならではである。この曲を聴き終えた時、アルバム全体がひとつの物語だったような感覚さえ覚える。

一方で、本作は『Tout tout pour ma chérie(邦題:シェリーに口づけ)』のような分かりやすいヒット曲を期待すると、少々地味に感じるかもしれない。

しかし逆に言えば、その繊細さや内省的な空気感こそが本作最大の魅力でもある。

派手さよりもメロディ、美しいアレンジ、そしてアルバム全体の雰囲気を味わいたい方には、決して聴き逃してほしくない1枚。ポルナレフという天才メロディ・メーカーの新たな一面が垣間見える、隠れた佳作として改めて評価したい作品である。

80点

 

データ

1974年:フランス(Atlantic ‎– 50 106)

プロデューサー:ミシェル・ポルナレフ

1. La Fille Qui Rêve De Moi
2. Le Prince En Otage
3. Rosy
4. La Vie, La Vie M’a Quitté
5. La Fille Qui Rêve De Moi (Instrumental)
6. Le Grand Chapiteau
7. Il Est Gros
8. I Love You Because
9. Polnarêve (Instrumental)
10. Tibili
11. L’homme Qui Pleurait Des Larmes De Verre

 

作編曲家、ベーシストのサガワトモユキのソロ・プロジェクトVOL DE NUIT関連ページはこちらからどうぞ。60’Sアメリカン・ポップス、フレンチ・ポップス、AOR、MOR、シティ・ポップス、ソフト・ロックファンへ贈る!!

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