1976年、ジョージ・ベンソンの『Breezin’』と共にAORの幕開けとも言える作品『SILK DEGREES』を発表し、コンポーズとバックメンバーに若かりし頃のTOTOメンバーが全面的にバックアップした事もあり、金字塔的作品になった。
その後数々のAORミュージシャンが世に出た事から、この作品の影響力は計り知れない。
そんな作品を発表した後の本作が極めて重要。
前作では後にTOTOを結成するデヴィッド・ペイチをフィーチャーし、『Slow Dancer』から推し進めてきたソウル・ミュージックとの融合を目指してR&B、ポップス、ロックン・ロールからバラードまでヴァラエティ豊かな作品となり、モシャ・ブラカがデザインしたジャケットも相まって実年齢よりも大人びたボズ=アダルトなイメージを決定づけた。
今作ではマイケル・オマーティアンを迎え、半数の曲を共作。
引き続きTOTOメンバーのバック・アップはあるものの、前作以上にゲスト・ミュージシャンも増えている。
Contents
聴きどころ
特にベースは①Still Falling For Youのデヴィッド・ハンゲイトを除き、スコット・エドワーズが大半の曲でプレイ。
しかしながら、この①が素晴らしい。
ポーカロ&ハンゲイトのコンビネーションは超一流ミュージシャン同士の組み合わせというだけでは生まれないグルーヴ感、「相性」とも言うべきバッチリとハマったリズム体コンビなのである。
続く②Hard Timesでは生々しいベースのサウンドに裏メロやオブリなどを混ぜたエレピが絡み、ファンキーなギターが彩りを加えるシングル曲。
粘るサウンドが特徴のボズ自身によるギター・ソロも必聴。
このアルバム全体に言える事だが、リズム体が強調された楽曲が多く、ジェフ・ポーカロのドラムとスコット・エドワーズのコンビネーションも悪くない。
ゴツゴツとしたP-Bassのサウンドが耳につき、時にはメロウに、時には休符を交えファンキーなリズムが強調され、バネの効いた黒さは前作以上。
そこにソウルフルなコーラスとキレの良いブラス、カッティング・ギターが加わるのが基本路線。
タメが効いたミドル・ナンバー③A Clueや跳ねたビートにピアノリフが印象的な⑨1993も聴きどころ。
⑧Gimme The Goodsでは終盤にジェフ・ポーカロがハイハットを32分で刻むという人間離れした神業を披露。
歌モノでここまで攻めたアレンジをするのもアリなのかという意味で衝撃的だった。
ギターにはボズ以外にもスティーヴ・ルカサー、ジェイ・グレイドン、バッキングにレイ・パーカーJr.を起用するなど、これ以上ない贅沢な布陣。
このようにボズ(主役)の魅力を引き出したバック・メンバー(脇役)と50%50%で噛み合ったアルバムは「AOR」と呼ぶに相応しい内容。
チャート上では全米11位と前作には及ばないが、②Hard Times(全米58位)、⑥Hollywood(全米49位)といった中ヒットが生まれた。
有名曲が収録されていたり、とっつき易さからすると『SILK DEGREES』に軍配があがるが、個人的には本作こそがボズの最高傑作だと思っている。
94点
データ
1977年:アメリカ(Columbia – JC 34729)
プロデューサー:ジョー・ウィザート
1.Still Falling For You
2.Hard Times
3.A Clue
4.Whatcha Gonna Tell Your Man
5.We’re Waiting
6.Hollywood
7.Then She Walked Away
8.Gimme The Goods
9.1993
10.Tomorrow Never Came / Tomorrow Never Came (Reprise)
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