LISA DAL BELLO / Lisa Dal Bello

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ブルー・アイド・ソウルの女王ダスティ・スプリングフィールドのように白人でもブラック・フィーリングを匂わせるヴォーカリストは好みだ。
AORでのファンキー女性ヴォーカリストをご紹介。

彼女の名はリサ・ダルベロ。
カナダ出身のシンガーでエルトン・ジョンに影響され音楽を始める。
カナダと言えば、同国が生んだスーパー・プロデューサー、デヴィッド・フォスターを思い出さずにはいられない。
本作もデヴィッド・フォスターがプロデュースした77年作である。アメリカ=L.A.におけるカナダというと、日本で言う東京における地方出身者みたいな感覚なのか「同郷」という事で深い繋がりを持っているアーティストも多い。
実際デヴィッド・フォスターが中心になるとL.A.だけでなく、同郷のアーティストをプロデュースしたりする事も多かったようだ。

この作品を書いている時はリサ自身まだ20歳前であったというから何という早熟な10代であろう。
ご本人はデヴィッドの助けも借りているがストリングスまでアレンジしている。
彼女の歌声はエルトン・ジョンの後に影響を受けた女王アレサ・フランクリンやチャカ・カーンなどソウル、R&Bの色が濃い。
所々でパンチの効いた”コブシ”を披露するが、黒人顔負けのソウルフルな声である。

そうかと思えば⑤Touch Me、⑦Stay With Meのように繊細な曲を歌う事も出来る。この器用さが彼女自身、最大の魅力だ。
楽器隊にも言える事だがヴォーカリストも音程を取る、リズムに乗るなどのテクニック、太く力強い声の他に「感情の表現」これが非常に大事だと思うのだが、リサの場合はその表現力が突出しているように思える。
もちろん平均以上のテクニックと声量を持ち合わせていながらーーーー。

またTOTOがデビュー直前に作ったレコード会社用のデモにMiss Sunという曲があったのだが、その曲でバック・ヴォーカルを披露している。(後に正式にリリースされたTOTO XXに収録)
これは当時TOTO一派がボズ・スキャッグスのバックを務めている時にデヴィッド・ペイチが書いた曲で、結果的にボズもレコーディングをする事になり、そこでもバック・ヴォーカルとしてリサも参加した。

そのレコーディングのきっかけを作ったのが本作というわけである。
なぜならリサ自身、ボズのロウ・ダウン(シルク・ディグリース収録)制作メンバーをバック・メンバーにしたいという事を熱望し、デヴィッド・フォスターに頼んだ経緯がある。
そこでドラムを叩いていたのが一時期恋仲ともなるジェフ・ポーカロだったというわけである。

そのような理由でこの作品にはデヴィッド・フォスター関連のメンバーが勢揃いしている。
盟友ジェイ・グレイドン、スティーブ・ルカサー、デヴィッド・ペイチ、マイク・ポーカロ、ジェフ・ポーカロ 、デヴィッド・ハンゲイトのTOTO勢、ロバート・ポップウェル、ジェイ・グラスカ、ビル・チャンプリン、パトリース・ラッシェン、フィリップ・ベイリー、トム・スコット等々。

現代では想像も付かないが当時はサウンドがいくらファンキーでもヴォーカリストが白人であるというだけで、ラジオなどではオンエアしてもらえなかったらしい。
そんな不遇の時代があったからこそ、今評価したい作品である。
92点