純粋なソフト・ロックというより、こちらもその枠だけには収まらないポップ・ロック・バンド、それがパイロットというグループである。
本作はデビューとなる74年発表。
ポップ・ロックというのは誰もが聴きやすく、親しみやすいメロディーとクセのないヴォーカルの声質、激し過ぎないバッキングなど、大衆受けするようなまとめられ方をしているサウンドを指すことが多い。
パイロットいうバンドはまさにその典型とも言えるグループなのだ。
ソフト・ロックのレビューでは何度も登場しているが、セールス、知名度、人気など世界的に見て<最も成功したグループ>は過去現在においてもビートルズを凌ぐバンドはないという事に異論のある方は、そういないだろう。
そのビートルズで主にヴォーカルを担当していたポール・マッカートニーはまさに癖のない声質が特徴で、同じくヴォーカルを担当したジョンやジョージと比較しても聴きやすさは明らかだ。
Contents
ストーリー
中心となるのは元ベイ・シティ・ローラーズのデヴィッド・ペイトン(Vo&B)で彼は後にキャメル、アラン・パーソンズ・プロジェクトなどにも参加。
他には同じく元ベイ・シティ・ローラーズのビリー・ライアル(Vo,K,Fl)、スチュアート・トッシュ(Vo,Dr)イアン・バリンソン(G)の4人。
ドラムのスチュアートは後に10ccへ、イアンはデヴィッドと同じくアラン・パーソンズ・プロジェクトに加わるなど、それぞれ出世している。
トップ・リコメンド
トップ・リコメンドは②Magic(全米5位)。
非常に分かりやすい、キャッチーという言葉がぴったりなメロディーとハイ・トーンのヴォーカルが実に心地良い。
ハンドクラップが如何にもソフト・ロックな①Just A Smile、ビートルズの雰囲気を感じる④Girl Next Door、⑧Over The Moonを含めて聴きどころも多く、楽曲のバラツキが少ないのでアルバムのクオリティーを落とすことがないのが素晴らしい。
デヴィッド・ペイトンの作曲能力は極めて優秀でパイロットとしてはセカンド以降も評価が高いのも頷ける。
便宜上、ソフト・ロックの枠に入れているが、ロックとポップスの中間地点に存在していたのがパイロットというバンドだと思う。
その辺りがビートルズに似ていると言われる所以でもあるが。
88点
データ
1974年:アメリカ(EMI – EMC 3045)
プロデューサー:アラン・パーソンズ
1. Just A Smile
2. Magic
3. Lucky For Some
4. Girl Next Door
5. Lovely Lady Smile
6. Sooner Or Later
7. Don’t Speak Loudly
8. Over The Moon
9. Never Give Up
10. High Into The Sky
11. Auntie Iris
12. Sky Blue
コメント